2. 年金から天引きされている「税金・社会保険料」は何がある?
公的年金は原則として、各種の税金や社会保険料が差し引かれたうえで支給されます。
年金受給者に対して天引きされる主な項目は、以下のとおりです。
- 所得税および復興特別所得税
- 個人住民税
- 国民健康保険料・後期高齢者医療保険料
- 介護保険料
順に詳しく確認していきましょう。
2.1 所得税および復興特別所得税
公的年金は税法上「雑所得」として扱われるため、一定額以上の年金を受け取っている場合には、所得税の対象となります。
さらに、東日本大震災の復興財源を確保する目的で制定された特別措置法に基づき、現在は「復興特別所得税」も併せて課税されます。
2.2 個人住民税
住民税も所得税と同様に、公的年金から差し引かれ、年金受給者が65歳以上で、年間の公的年金収入が18万円を超える場合に天引きの対象となります。
また、住民税は「前年の所得額」を基準に計算されるため、前年の収入が多かった人ほど、翌年度の住民税額が高くなる点にも注意が必要です。
2.3 国民健康保険料・後期高齢者医療保険料
国民健康保険は、会社員向けの健康保険に加入していない75歳未満の方を対象とした公的医療保険制度で、年金受給額が年間18万円以上の方は年金から天引きされる形で納付します。
一方、75歳になると「後期高齢者医療制度」に移行し、以後はその保険料が年金から控除されることになります。
なお、国民健康保険と後期高齢者医療保険は併用されず、年齢や条件に応じてどちらか一方のみが適用されます。
2.4 介護保険料
40歳以上64歳未満の人は、介護保険料が健康保険料に含まれている形で支払われますが、65歳以上になると、介護保険料は独立して支払うことになります。
年金支給額が年間18万円以上の人は、この介護保険料が年金から天引きされることになります。
また、「介護状態になれば支払いがなくなる」と認識している人もいますが、実際には介護認定を受けた場合でも、介護保険料の支払い義務は続くため留意しておきましょう。
3. 公的年金から「税金」が天引きされない人はどんな人?
前章では年金から天引きされる費用について触れましたが、実際には税金が「天引きされないケース」もあります。
たとえば、所得税や復興特別所得税は、年金額が一定の金額に達していない場合、非課税となります。
また、個人住民税も所得税と同じように、年金が一定額に満たない場合には非課税となります。
非課税となる基準は自治体によって異なるため、詳細はお住まいの自治体の公式ウェブサイトで確認することをおすすめします。
なお、遺族年金や障害年金については、税金が非課税対象となるため、受給者に対して所得税・住民税が課せられることはありません。
3.1 「社会保険料」は所得が低くても免除はされない?
所得が低い場合、公的年金から天引きされる税金は非課税となりますが、社会保険料については所得の多寡にかかわらず「支払い義務が発生」します。
たとえば、横浜市の場合、生活保護を受けている方や住民税が非課税の世帯でも、介護保険料の年間保険料額は1万5880円です。
さらに、所得に応じて社会保険料の天引きが行われないこともありますが、その場合でも「普通徴収」として支払い義務はあるため、支払いの必要がなくなるわけではない点に注意が必要です。