6月の公的年金受給を前に、今後の年金生活のことや「年金ってみんないくらもらっているの?」と周囲の年金事情について思いを巡らせる方も多いのではないでしょうか。

年金生活を送るシニア世代にとって、毎年の確定申告は大きな負担となることがあります。

そこで2011年分から導入されているのが「公的年金等に係る確定申告不要制度」です。

今回は公的年金の平均額や受給額の実態をふまえ、「確定申告不要制度」について解説します。

1. みんなは〈国民年金〉をいくらもらっているの?

まずは、厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」から、国民年金の年金月額階級別老齢年金受給権者数(男女別)についてみていきましょう。

国民年金の年金月額階級別老齢年金受給権者数(男女別)

国民年金の年金月額階級別老齢年金受給権者数(男女別)

出所:厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成

国民年金の年金月額階級別老齢年金受給権者数(男女別)についてポイントを2点解説します。

1.1 男女ともに最多層は「6~7万円」だが、男女平均は「5万7584円」

国民年金の受給権者で最多層は「6万円以上~7万円未満」で、

  • 〈全体〉6万円以上~7万円未満:1597万6775人
  • 〈男性〉6万円以上~7万円未満: 896万8414人
  • 〈女性〉6万円以上~7万円未満: 700万8361人

しかし、平均年金月額は男女計で「5万7584円」です。

これは「平均(=全体を均した数値)」と「最頻値(=最も多い層の値)」の違いによるものです。

年金額が低い人も多く存在していることで全体の平均を押し下げており、その結果、最多層より平均値が下回っているという状況がわかります。

1.2 国民年金の平均月額【男女差】はおよそ4200円

  • 〈全体〉平均年金月額:5万7584円
  • 〈男性〉平均年金月額:5万9965円
  • 〈女性〉平均年金月額:5万5777円

女性の方が平均年金月額がおよそ4200円少ないことがわかります。

この差の背景には、保険料を納めた期間の違いが大きく影響しています。

女性は結婚や出産、育児などにより就業を中断しやすく、保険料を納めなかった期間(未納や免除など)が男性より多くなる傾向にあります。

その結果、受給額にも差が生じていると考えられます。