2. 【2025年度の公的年金】2024年度と比べどれくらい増えたのか
厚生労働省は2025年度の公的年金額を、2024年度と比べ1.9%引き上げることを公表しました。
2025年度に増額改定されたことで、3年連続のプラス改定になりました。
しかし「マクロ経済スライド(※)」により、物価上昇率を下回る改定率となっているため、実質的には公的年金額は目減りしています。
具体的には、物価上昇に年金額が追い付いていないのです。
※マクロ経済スライドとは:「公的年金被保険者(年金保険料を払う現役世代の数)の変動」と「平均余命の伸び」に基づいて設定される「スライド調整率」を用いて、その分を賃金と物価の変動がプラスとなる場合に改定率から控除するしくみ
2.1 「国民年金」と「厚生年金」全体・男女別の平均月額はいくら?
厚生労働省年金局が公表した「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとに、国民年金と厚生年金の受給状況を確認します。
グラフの受給額分布から、国民年金や厚生年金の平均月額における「個人差」や「男女差」がどれくらいあるのか見ていきましょう。
【全体・男女別】「国民年金」平均年金月額
- 〈全体〉平均年金月額:5万7584円
- 〈男性〉平均年金月額:5万9965円
- 〈女性〉平均年金月額:5万5777円
【全体・男女別】「厚生年金」平均年金月額
※国民年金部分を含む
- 〈全体〉平均年金月額:14万6429円
- 〈男性〉平均年金月額:16万6606円
- 〈女性〉平均年金月額:10万7200円
国民年金は、全体・男女ともに平均月額は5万円台となっています。
厚生年金(国民年金を含む)の平均月額は、全体で14万円台、男性は16万円台、女性は10万円台です。
女性の厚生年金(国民年金を含む)の平均月額は、男性と比べ約6万円ほど少ないことがわかりました。
ただし上記はあくまでも平均月額となっています。
グラフが示すとおり、国民年金の受給権者だけではなく、厚生年金の受給権者のなかにも、年金が月額5万円未満となる方もいらっしゃいます。
物価の上昇が続いていることもあり、公的年金のみで老後生活を過ごすには厳しい状況にあることが考えられます。
そこで2019年から「年金生活者支援給付金」制度が開始されました。
では、「年金生活者支援給付金」はどのような制度なのでしょうか。支給対象となるのはどのような方なのか確認していきましょう。