退職金は、多くの会社員や公務員にとって、まとまった金額を受け取る唯一の機会です。気分が高揚して、自分の生活水準を引き上げたり投資を始めたりする方が出てくるかもしれません。

しかし、退職金は老後生活を支える大切な原資です。計画的に取り崩したり、安全に運用したりして、充実した老後生活を送りましょう。

今回は、退職金が振り込まれたとき、絶対にやってはいけないことを解説します。

1. 生活水準を引き上げる

退職金は一見すると「臨時収入」ですが、実際には「給与の後払い」という性質があります。老後の生活費として大切に使うべき資金である点は、常に留意すべきでしょう。

まとまった金額を手に入れたからといって、生活水準を引き上げると、大切な資金を早く枯渇させてしまう危険があります。特に、退職金は「これまで頑張って働いてきた事に対する報酬」と感じる方もいるため、注意が必要です。

一度高い生活水準に慣れてしまうと、元の水準に戻すことは難しくなります。基礎生活費が上がると、年金だけで生活費をカバーするのが難しくなり、想定よりも長生きしたときに貯蓄が底をつく事態になりかねません。

支出管理が甘くなると、健全な家計運営が困難になることを常に意識しましょう。

2. 金融機関の窓口で相談する

まとまった金額をどのように扱えばよいのかわからない場合でも、金融機関の窓口で相談するのはおすすめしません。理由は、手数料が高い金融商品の購入を勧められる可能性が非常に高いためです。

金融機関にとって、「退職金をどのように使えばよいのかわかりません」と相談している相手は、自社にとって都合がよい商品を販売しやすい存在です。

たとえば、毎月分配型の投資信託やファンドラップなど、手数料が高い商品を勧められる可能性が高いでしょう。多くの金融機関は無料相談を行っていますが、窓口の担当者は中立的なアドバイザーではなく、金融商品のセールスマンである点に留意しましょう。