4. 故人の口座からの引き出しには「預貯金の払い戻し制度」を活用

家族や親族が亡くなった後には、さまざまな手続きが必要になります。これらの手続きをおこなうとき、それなりのお金が必要なことに気付かれる方も多くいらっしゃいます。

しかし、銀行へ口座名義人の死亡を伝えてしまうと、故人の口座からお金を引き出して使うことはできなくなります。そこで、死後の整理に際しては「預貯金の払い戻し制度」の利用を検討してみましょう。

4.1 「預貯金の払い戻し制度」とは?

「預貯金の払い戻し制度」とは、相続人など、親族の経済的負担を軽減するために、2019年よりスタートした比較的新しい制度です。

本来、故人の資産は相続人などによって遺産分割が終了してから自身の財産になり、使うことができるようになりますが、この制度を活用すれば、協議が終了していない段階でも故人の口座から払い戻しを受けることができます。

具体的には以下の2つの方法があり、それぞれの制度で払い戻しできる金額が異なります。

家庭裁判所の判断により払い戻しができる制度

家庭裁判所に遺産の分割の審判や調停が申し立てられている場合に、各相続人が家庭裁判所に申し立てをおこない、認められてから、銀行で払い戻しを受けることができる制度です。

  • 単独で払い戻しができる金額:家庭裁判所が仮取得を認めた金額

家庭裁判所の判断を得ずに払い戻しができる制度

家庭裁判所の判断なしに、銀行で手続きができる制度です。

  • 単独で払い戻しができる金額:相続開始時の預金額 × 1/3 × 払戻しを行う相続人の法定相続分 ※ただし、1つの金融機関につき150万円まで

制度の利用には、それぞれの方法で所定の書類が必要です。また、払い戻された預金は、払い戻しを受けた相続人が取得するものとして調整されます。詳しくは取り引きのある金融機関に問い合わせてみましょう。