老後が近づくにつれ、年金だけでの生活に不安を感じる人もいるでしょう。
そのような人は、リタイア後に再就職して厚生年金保険に加入し、年金の受給額を増やすことがおすすめです。
本記事では、リタイア後に再就職して厚生年金保険に加入し「10年間」×「月収15万円」で働いた場合、どれくらい年金受給額が増えるのかをシミュレーションします。
厚生年金保険に加入できる条件も紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
1. 厚生年金保険の加入条件とは
厚生年金は、厚生年金保険の加入期間が長いほど受給額が高額となります。そのため、リタイア後に再就職することで厚生年金保険に再加入すれば、年金受給額を増やせます。
では、厚生年金保険に加入するにはどのような条件を満たせばいいのでしょうか。厚生年金保険の加入条件は以下の通りです。
1.1 社会保険の加入条件
- 週の勤務時間が20時間以上
- 給与が月額8万8000円以上
- 2か月を超えて働く予定がある
- 学生ではない
上記、すべてを満たす場合に厚生年金に加入することになります。
そのため、リタイア後にアルバイトを始めたとしても、週の労働時間が20時間未満の場合や給与が月額8万8000円未満の場合などは厚生年金には加入できないため注意しましょう。
なお、給与条件については今後撤廃が検討されています。
2. 繰下げ受給で年金受給額を増やせる
年金は通常65歳から受け取りを開始するため、65歳から再就職して厚生年金保険に加入した場合、基本的には年金を受け取りながら働くことになります。
ただし、年金の「繰下げ受給」を利用すれば年金の受給開始時期を66歳以降に遅らせることが可能です。最長75歳まで受取開始を遅らせることができ、受給開始時期を遅らせるほど、年間の年金受給額は高額になります。
そのため、65歳から再就職して10年間働く場合、繰下げ受給を利用して年金の受給開始時期を75歳にすれば、1年間あたり高額な年金を受け取ることが可能です。
できるだけ年間の年金受給額を増やしたい人は、繰下げ受給の利用を検討してみましょう。
3. 65歳から「10年間」×「月収15万円」で働いたらいくら年金は増えるのか
では、実際に65歳から再就職して厚生年金保険に加入し、「10年間」×「月収15万円」で働いたら、どのくらい年金は増えるのでしょうか。
1975年生まれで、23歳~60歳まで平均年収400万円で働いた会社員のケースでシミュレーションしてみましょう。再就職せず65歳から年金の受取りを開始する場合、もらえる年金は年間155万円です。
一方、65歳から再就職して74歳まで平均年収180万円(月収15万円)で働き、さらに年金の繰下げ受給を利用して受給開始時期を75歳まで遅らせた場合、75歳からの年金受給額は年間300万円になります。
再就職せずに65歳から年金の受取りを開始した場合と比較して、年間の受給額は2倍近くに増加します。
リタイア後に再就職して厚生年金保険に加入することが、いかに年金受給額に大きな影響を及ぼすかがわかるでしょう。
また、再就職後の厚生年金保険加入期間が長く、平均年収が高いほど、多くの年金を受け取ることが可能です。
厚生労働省の「公的年金シミュレーター」を利用すれば、勤務期間や平均年収、年金の受給開始時期などを指定することで、年金受給額を簡単にシミュレーションできるため、ぜひ利用してみてください。
4. リタイア後も働く人が増えている
日本は高齢化により、60歳以降も働く人が年々増えています。総務省「統計からみた我が国の高齢者」によると、2023年における年齢階級別の就業率は以下のとおりです。
4.1 年齢階級別の就業率
年齢階級 就業率
- 65~69歳 52.0%
- 70~74歳 34.0%
- 75歳以上 11.4%
65~69歳も働く人は半数以上、70~74歳で働く人も約3分の1もいます。
そのため、65歳以降も働いて厚生年金保険に加入し、年金受給額を増やすことは、もはや珍しい選択肢ではありません。
長い老後生活をゆとりのあるものにするために、65歳以降の過ごし方をいろいろ検討してみると良いでしょう。
参考資料
苛原 寛