3. 国家公務員のワークライフバランスは?

収入が比較的安定しており、手当や福利厚生が充実したイメージの国家公務員ですが、仕事と家庭との両立を目指すワークライフバランスは決して充実しているとはいい切れません。

近年、国家公務員の申込者数は減少傾向にあります。2012年の申込者数は6万人超でしたが、2023年には4万人台まで減少しました。

国家公務員の申込者数変遷(2012~2023年)

国家公務員の申込者数変遷(2012~2023年)

出所:自由民主党「[国家公務員給与法]公務員全体の処遇改善が必要」

理由としては、業務内容に対する給与額の低さや、長時間労働などの労働環境の厳しさなどが挙げられています。

とくに職員が厳しさを実感しているのが「国会対応」です。人事院の調査によると、2021年度時点で31の府省が「国会対応への超過勤務の状況は前年度と全く変わっていない」9府省が「悪化した」と回答しています。

要因は、質問通告の遅さや、答弁書の回答期限の短さ、各省庁との調整の長期化などとされています。とくに、国会議員が文書で質問を送付する「質問主意書」への回答は期限が7日間とされており、日常業務と並行しながらタイトなスケジュールで回答を提示しなければなりません。

答弁作成に時間が取られてしまい通常業務ができず、結果的に超過勤務が常態化してしまっている部署もあるようです。

現役職員のこうした不満を汲み取り、給与や処遇にどのように反映させていくかが、今後の国家公務員のワークライフバランスの充実に向けた課題といえそうです。

4. まとめ

国家公務員は新卒時点から安定した収入を得られますが、さまざまな地方で勤務する必要がある点や国会対応のように激務が存在する点などが懸念され、申込者数はなかなか増えていません。給与と業務量のバランスの見直しや旧態依然とした業務体系の脱却などが求められるでしょう。

参考資料

石上 ユウキ