物価上昇が続いています。こうした状況下、お金を減らさないように大切に保管しておくことは、必ずしも正解とはいえません。
現金や低金利の預貯金ではインフレの進行に追いつくのが難しく、実質的に資産が目減りしてしまうリスクがあるからです。
こうしたなか、ますます重要視されているのが「資産運用」です。
中でも、少額から始められて税制優遇を受けられるNISAは、個人の資産形成を強力に後押しする制度として、2014年の開始以来、多くの人々から選ばれ続けています。
この記事では、NISA口座を利用して毎月3万円を積み立て投資した場合、10年後、20年後、そして30年後に、資産がどれだけ成長する可能性があるのかを具体的にシミュレーションしていきます。
1. 【推移グラフをみる】NISA「口座数・買付額」は年々上昇傾向に
NISAは2014年に導入され、10年後の2024年に制度が見直されて「新NISA」として再スタートを切りました。
NISA口座を使って投資信託や株式で資産運用を行うと、得られた運用益や配当・分配金に対する課税が免除されます。
この非課税の恩恵により、資産形成を効率よく進められる可能性があることから、NISAの利用者数は年々増え続けています。
2025年5月8日に金融庁が発表した「NISA口座の利用状況調査」のデータから、制度開始以降の口座数や買付額の推移を確認してみましょう。
2014年1月にNISA制度が開始された当初の口座数は492万口座でしたが、同年12月末には825万口座と、わずか1年でほぼ倍増し、その後も口座数は増加を続けたものの、伸び幅は緩やかな傾向が見られました。
大きな伸びを見せたのは、制度が「新NISA」に移行した2024年以降です。
非課税枠の拡大や制度の恒久化など、長期的な資産形成に適した内容へと見直されたことが、利用者数や買付額の急増につながりました。
また、当時の円安や株高といった市場環境の後押しも、「貯蓄から投資へ」という動きを一層加速させ、NISA口座の活用が広がる要因となりました。
このように、口座数・買付額ともに成長を続けているNISA。
10年後、20年後、30年後に迎える老後に備え、NISAを活用して資産形成を始める人は今後も増えていくと考えられます。
では、NISAのつみたて投資枠で「毎月3万円」を積み立てた場合、どの程度の資産が形成できるのかをシミュレーションしてみましょう。