季節が秋から冬へと変わり、体が温まる入浴剤を使用する機会が増えています。コンビニや薬局で購入できる入浴剤は種類も豊富で、愛用している人も多いのではないでしょうか?
しかし、使用方法を間違えると、思わぬ事故につながることもあり注意が必要です。
今回、独立行政法人国民生活センターは、2025年8月13日に「発熱反応を伴い水素を発生するというパック型入浴剤-使い方によっては、やけどのおそれも-」と題した注意喚起を実例とともに行いました。
どんな使用方法で、事故が起きているのでしょうか? この記事では、国民生活センターが発表したデータを基に、対策を探っていきます。
また記事中では、消費者庁による令和7年版「消費者白書」より、最新の「消費者被害の推計額」についてもご紹介します。
※投稿の画像は【写真】をご参照ください。
※今回ご紹介する内容は、独立行政法人国民生活センターの掲載許可を頂いております。
1. 入浴剤でケガをしたケースを紹介
ここからは、国民生活センターに寄せられた事故事例を紹介します。
これまで、7歳の女児が水素を発生するケースにセットしたパック型の入浴剤を、誤って浴槽内の湯に落とし第II度の熱傷(浅達性、手掌、手背、手指の1%)を負った事故が報告されています。
また、2011年度から2016年5月末の約5年間で、水素を発生するという入浴剤の危害事例(けがをしたもの)が7件、危険事例(けがをするおそれがあったもの)が1件あったそうです。
事例の内容は、皮膚障害が3件、熱傷が2件、擦過傷・挫傷・打撲傷が1件、呼吸器障害が1件で、危害程度は治療1週間未満が2件、医者にかからずが3件、不明が2件でした。
問題になった入浴剤は、配合成分から水と反応して発熱し水素を発生する商品だとされています。
国民生活センターでは、市販の水素を発生する入浴剤のうち、発熱を伴うためパック型のものをケースにセットして使用するタイプの6銘柄を、入浴中に使用した場合を想定してさまざまな調査を行いました。
ここからは、調査結果の詳細をお届けします。
2. 水素を発生するというパック型の入浴剤の実験結果は?
ここからは、国民生活センターで行ったテスト結果を公開します。
今回のテスト銘柄ですが、インターネットの大手通信販売サイト(楽天市場、Amazon.co.jp、Yahoo!ショッピング)、東京都および神奈川県内のドラッグストア、ディスカウントストア、ホームセンターなどの量販店で入手可能な「水素を発生するというパック型の入浴剤」でケースに入れて使用するものが対象。
さらに参考品として、水素を発生するという入浴剤で、配合成分に水素化マグネシウムが使われている2銘柄を使っています。
調査結果ですが、全ての銘柄で湯につけるとすぐに入浴剤の表面が90℃程度の高温になり、長いものでは約3分間も持続。なお、ケース表面や周囲の湯の温度は高温になりませんでした。
ただ、湯に入れてすぐ取り出すと、入浴剤表面から高温の蒸気が発生し本体に直接触れなくてもやけどを負ってしまう可能性がありました。
さらに、ケースについては全銘柄で、格子の隙間から子どもの指が入るため入浴剤本体に接触する可能性があるとされています。
商品の表示、広告について、水との接触により高温になる旨の注意表示は、全銘柄の商品パッケージや取扱説明書でみられましたが、入浴剤本体やケースにはみられなかったそうです。
どの銘柄も子どもの使用に注意する旨の記載があったことも、合わせて報告されています。
3. 水素を発生するというパック型入浴剤を使用する際の注意点は?
実験を踏まえ、消費者へのアドバイスとして、水素を発生するというパック型入浴剤は湯に入れると表面が直ちに高温になり持続するので、入浴剤に直接触れないように注意が必要だとしています。
また、湯に入れた直後に取り出すと高温の蒸気を発生するので、しばらく取り出さない対応が必要です。
今回の実験結果を踏まえ、いくつかの会社から国民生活センターへ向けて安全対策などの改良が報告されています。ただ、商品が安全になっても、取り扱いには注意が必要となりそうです。
いかがだったでしょうか?
特に小さい子どもがいる家庭では、入浴剤の取り扱いには注意すべきです。保護者がしっかりと見守るなど、事故を起こさないように対策を行ってください。
4. 2024年の消費者トラブルによる被害額は9兆円という結果に
日々消費活動を行うみなさんにとって、決して遭いたくないトラブルが「消費者トラブル」。
しかし、2025年6月に公表された令和7年版「消費者白書」によると、2024年の消費者被害の推計額(既支払額)は9兆円にのぼることがわかりました。
なお、2020年からの推移は下記のとおりです。
4.1 消費者被害・トラブル額の推計結果(既支払額・信用供与を含む。)
- 2020年:約3.6兆円
- 2021年:約5.6兆円
- 2022年:約6.0兆円
- 2023年:約7.9兆円
- 2024年:約9.0兆円
2024年の金額が近年最高額となっていることがわかりました。
なお、既支払額(信用供与を含む。)ベースでの消費者被害・トラブル額の推定額は約9.0兆円ですが、この数字には誤差が含まれており、同基準の消費者被害・トラブル額は95%の確率で8.5~9.6兆円の幅の中にあると推定されています。
また推計結果の推移をみると、新型コロナウイルス感染症拡大の影響による消費の落ち込みの影響が考えられる2020年の約3.6兆円を除いて、だいたい5兆円から6兆円で推移していました。しかし、近年は増加傾向にあることが見て取れます。
また、消費者被害・トラブル額の推計結果の算出方法には、新手法と旧手法の2種類があります。
同白書によると、「旧手法」では、消費者生活相談情報(PIO-NETデータ)に含まれる、1億円以上の極端に高額な案件も推計に含められていました。そのため、発生自体が稀な高額案件が、推計全体に実態以上に大きな影響を与える可能性がありました。
そこで「新手法」では、消費者被害・トラブル額の推計は、1億円未満のデータに基づき行うこととし、相談案件が1億円以上のトラブルについては、推計には含めず、件数と総額を推計値に併記する形を取っています。
この新しい手法により、ごく一部の極端なデータが推計全体に影響を与えることを防ぎ、また実態により即した推計となりました。
なお、旧手法による2024年の消費者被害の推計額(既支払額)は9.6兆円と、新手法よりも金額が多くなっていることがわかります。
いずれにしても、最新の数字で9兆円にのぼる莫大な金額が被害・トラブル額として推計されている現在、消費者庁は誇大広告や偽表示を行う通販業者への行政処分、SNS広告による詐欺的副業の注意喚起など、迅速な対応を取っています。
参考資料
- 国民生活センター「発熱反応を伴い水素を発生するというパック型入浴剤-使い方によっては、やけどのおそれも-」
- 国民生活センター「発熱反応を伴い水素を発生するというパック型入浴剤-使い方によっては、やけどのおそれも(PDF)」
- 消費者庁「消費者白書等」
髙橋 マナブ