1.1 国家公務員の給与の決まり方

国家公務員の給与は、民間企業の基本給に該当する「俸給」と、各種手当で構成されています。

基本給である俸給は、職種や仕事の複雑さ・困難さ、責任の度合いによって分かれているのが特徴です。国家公務員は、行政職や公安職、医療職などの職種に応じて「俸給表」が定められており、以下の17種類に分かれています。

  • 行政職俸給表(一)
  • 行政職俸給表(二)
  • 専門行政職俸給表
  • 税務職俸給表
  • 公安職俸給表(一)
  • 公安職俸給表(二)
  • 海事職俸給表(一)
  • 海事職俸給表(二)
  • 教育職俸給表(一)
  • 教育職俸給表(二)
  • 研究職俸給表
  • 医療職俸給表(一)
  • 医療職俸給表(二)
  • 医療職俸給表(三)
  • 福祉職俸給表(別表第九)
  • 専門スタッフ職俸給表(別表第十)
  • 指定職俸給表(別表第十一)

そして、俸給表には職務の複雑さ・困難さや責任の度合いに応じて「級」が、勤続年数や年齢、勤務成績に応じて「号俸」が定められています。係長や課長のように昇進していくと級数が増え、俸給が増えていきます。また、勤続年数が長くなっていくと号俸数が増え、俸給が増える仕組みです。行政職の場合、級数は10級まで、号俸数は125級まで存在します。

国家公務員には、複数の手当が用意されています。主な手当は以下のとおりです。

国家公務員「諸手当」

国家公務員「諸手当」

出所:人事院「国家公務員の給与制度の概要」

  • 扶養手当:扶養親族のある職員に支給される。
  • 住居手当:借家等に居住する職員等に支給される。
  • 通勤手当:通勤のため、交通機関等や自動車等を使用している職員に支給される。
  • 単身赴任手当:異動等に伴い、配偶者等と別居して単身で生活することとなった職員に支給される。
  • 地域手当:主に民間賃金の高い地域に勤務する職員に支給される。(東京23区は月給の20%)
  • 広域異動手当:広域的な異動等を行った職員に対して、官署間の距離に応じ、異動等の日から3年間支給される。
  • 超過勤務手当:正規の勤務時間を超えて勤務した職員に対し、勤務時間数に応じて支給される。
  • 本府省業務調整手当:本府省の業務に従事する課長補佐級から係員級の職員に支給される。

また、「期末手当」「勤勉手当」として、民間企業のように賞与も支給されます。期末手当は定額分、勤勉手当は人事評価の一環である考課査定分となっており、6月1日と12月1日時点で在職の国家公務員に支給されるようになっています。

1.2 給与制度のアップデート

国家公務員の給与については、時代に即したものになるよう、常に制度がアップデートされています。

たとえば、2024年度は民間給与の実態を反映し、月収で約4.4%の給与改善がなされ、高水準のベースアップを実現しました。また、新卒初任給を以下のように10%以上引き上げ、採用力の強化に努めました。

  • 総合職(大卒):23万円(+14.6%)
  • 一般職(大卒):22万円(+12.1%)
  • 一般職(高卒):18万8000円(+12.8%)

また、通勤手当については支給限度額が在来線利用で5万5000円、新幹線・特急で2万円だったのを、在来線と新幹線・特急あわせて上限15万円に拡大しています。

一方で、以下のように一部の職員にとっては改悪ともとれるアップデートもしているようです。

  • 子どもに対する扶養手当を2026年度までに1万3000円に引き上げる代わりに配偶者に対する扶養手当を廃止
  • 地域手当の単位を市区から都道府県単位に変更

次章では、国家公務員の年収モデルについて解説します。