2. 生涯の年金受給額は7000万円近くに!? 想像以上に大きい「年金総額」

2025(令和7)年における「夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な年金額」は23万2784円です。前年度から1.9%の増額となっています。

ただし、この金額は夫婦の一方が平均的な収入(平均標準報酬45.5万円)で40年間就業し、夫婦の一方が専業主婦(夫)世帯だったケースの年金額です。すべての世帯で当てはまる金額ではないため、あくまでも一つのモデルケースとして参考にしましょう。

このモデル年金額を受給できる夫婦が、25年間にわたって(90歳になるまで)年金を受給した場合、受給総額は約7000万円です(23万2784円×12カ月×25年間)。自助努力だけで7000万円も用意するのは現実的ではないため、公的年金は頼れる社会保障給付であることがわかります。

3. 【繰下げ受給のシミュレーション】70歳からすると約7933万円もらえる?年金受給額がどう変わるか

公的年金には、66歳以降から受け取り始める「繰下げ受給」という選択肢があります。繰下げ受給を選択すると、繰下げ月数1カ月ごとに0.7%増額されるため、長生きリスクに備えるうえで効果的です。

たとえば、先ほどのモデル年金額の夫婦が70歳から繰下げ受給したケースで考えてみましょう。5年間繰り下げると42%増額されるため、年金月額は33万553円になります(23万2784円×1.42)。

20年間にわたって(90歳になるまで)年金を受給した場合、受給総額は約7933万円です(33万553円×12カ月×20年間)。繰下げ受給をすることにより、受け取れる年金総額を1000万円近く増やせる可能性があります。

ただし、想定よりも早く亡くなってしまうと、結果的に損をしてしまう可能性があります。これらのシミュレーションは「モデル年金額で、90歳まで生きた場合」という仮定の話であるため、繰下げ受給は必ず得をするとは限りません。

しかし、何歳まで生きるかわからない中で、受け取れる年金額を増やすことは有意義でしょう。年金の本質は保険であることを考えると、できるだけ長く働いて、受け取れる年金額を増やすことは、リスクヘッジの方法として効果的です。