公的年金受給額は一人ひとり異なり、高額な方もいれば平均に満たない方もいます。受給額が少ないと、年金だけで老後の生活費をまかなうことは難しいでしょう。

公的年金とその他所得の合計が一定基準以下の方には、生活費を支援するために「年金生活者支援給付金」が、公的年金に上乗せして支給されます。しかし、保険料の未納月があると、その分減額されてしまいます。

本記事では、年金生活者支援給付金の概要について確認するとともに、国民年金保険料を5年間、全額免除した場合の受給額をシミュレーションしていきます。

1. 老齢年金生活者支援給付金とは

年金生活者支援給付金とは、公的年金収入とその他の所得の合計金額が一定額以下の年金受給者に対し、公的年金に上乗せされる給付金のことです。

年金収入とその他所得の合計が低額の場合、生活費を確保していくことが難しくなります。そういった年金受給者の生活を支援するために、年金生活者支援給付金制度により、一定金額を給付しているのです。

1.1 年金生活者支援給付金の3つの種類

年金生活者支援給付金には3つの種類があり、受給中の基礎年金の種類によって受け取る給付金が異なります。

基礎年金を受給中で所定の要件を満たしている方は、「老齢年金生活者支援給付金」または「補足的老齢年金生活者支援給付金」の受給対象となります。

また、障害基礎年金を受給中の方は「障害年金生活者支援給付金」を、遺族基礎年金を受給している方は「遺族年金生活者支援給付金」が支給されます。

1.2 4月分から2.7%の引上げに

年金生活者支援給付金は、2024年の物価変動率(2.7%)により、昨年度よりも2.7%の引き上げとなります。適用されるのは2025年4月分からで、具体的な金額は以下の通りです。

年金生活者支援給付金支給額

年金生活者支援給付金支給額

出所:厚生労働省「年金生活者支援給付金制度について」をもとに筆者作成

「老齢年金生活者支援給付金」は昨年よりも140円増額となり、月額5450円です。「障害年金生活者支援給付金」は1級が6813円、2級が5450円に、「遺族年金生活者支援給付金」は5450円に増額されます。

ただし、これらはあくまで基準額であり、実際の受給額は保険料納付済期間などに応じて変動します。

厚生労働省年金局が公表した「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、実際の平均支給額は以下の通りです。

2024年度の老齢年金生活者支援給付金の基準額は5310円でしたが、実際の支給額は4014円となっており、1300円ほど少額となっています。

では、生活者年金支援給付金はどのように計算するのか、次章で確認していきましょう。