今年度の基礎年金額は、満額で月額6万9308円です。国民年金保険料を適切に納めていれば満額を受け取れますが、なかには経済状況が苦しく、なかなか保険料を納められない人もいるでしょう。

私たちは生活に困窮しているときに、生活保護を申請できます。近年、生活保護の申請件数は増加傾向にあるようです。とくに、保護率については地域で差が見られます。生活保護の申請が増えている理由はなんでしょうか。

この記事では、生活保護の申請件数や、都道府県別の保護率について解説します。

1. 生活保護の仕組み

生活保護とは、健康で文化的な最低限度の生活を営み、自立の助長を図るために、困窮の程度に応じて必要な保護が行われる制度です。保護の申請は国民の権利であり、誰でも相談や利用ができます。

生活保護で支給される金額は「最低生活費」から収入を除いた金額です。最低生活費は、世帯構成や住んでいる場所によって異なります。東京都の場合は約13万円といわれています。

生活保護で受けられる扶助は、以下のとおりです。

  • 生活扶助:日常生活に必要な費用(食費・被服費・光熱費等)
  • 住宅扶助:アパート等の家賃
  • 教育扶助:義務教育を受けるために必要な学用品費
  • 医療扶助:医療サービスの費用
  • 介護扶助:介護サービスの費用
  • 出産扶助:出産費用
  • 生業扶助:就労に必要な技能の修得等にかかる費用
  • 葬祭扶助:葬祭費用

日常生活に加え、住居費や教育費、医療費についても扶助が受けられます。さまざまな支出に対して扶助が出るため、生活の立て直しが図りやすくなるでしょう。

保護を受けるには、以下の要件を満たす必要があります。

生活保護の受給要件

生活保護の受給要件

出所:厚生労働省「生活保護制度」をもとに筆者作成

  • 資産の活用:預貯金や生活に利用されていない土地・家屋などがあれば売却して生活費に充てること。
  • 能力の活用:働ける場合は、能力に応じて労働すること。
  • あらゆるものの活用:年金や手当など他の制度で給付を受けられる際は、それらを優先して活用すること。
  • 扶養義務者の扶養:親族などから援助を受けられる際は、援助を受けること。
  • ※それでもなお収入が最低生活費に満たない場合は、保護を適用する。

資産を売ったお金や年金、家族の支援を受けてもなお収入が足りず生活が苦しい場合に、はじめて申請が可能です。

生活保護の申請窓口は、住んでいる自治体の福祉事務所です。生活保護担当の窓口で、保護申請について相談してみましょう。町村など一部の自治体では、町村役場での手続きが可能です。

次章では、生活保護の申請件数が増えている理由を解説します。