2.3 高齢者世帯が増えている

増加理由のひとつに、受給世帯に高齢者世帯が増えている点が考えられるでしょう。昨年12月時点の保護世帯数164万3111世帯のうち、高齢者世帯は90万2810世帯と54.1%の割合を占めています。加えて、全体の51.1%が単身世帯の高齢者であり、身寄りのない人の保護件数が多くの割合を占めている状況です。

日本の高齢者人口は2024年9月1日現在で3624万3000人で、総人口1億2377万9000人の約30%を占めています。すでに高齢化社会を迎えている日本ですが、今後も高齢者は増加していくでしょう。困窮する高齢者世帯が増えれば、生活保護の申請件数も増えていくと考えられます。

2.4 物価の上昇で最低生活費が増えている

物価の上昇によって最低生活費が増えているのも、保護の申請が増えている要因のひとつと考えられます。

2024年度の消費者物価指数は2020年を100として109.5と、前年度に比べて3.0%上昇しました。直近では111.1とさらに上昇しており、物価による生活の変化を多くの人が実感しているでしょう。

物価が上がれば支出も増えます。しかし、現在の日本は受け取った給与から物価変動の影響を差し引いた実質賃金が△0.3%とマイナスです。収入が増えずに支出だけが増えていくため、必要な生活費だけが増え続けてしまい、家計のやりくりがどんどんと苦しくなるのです。最低生活費の基準の設け方については、今一度見直す段階にあるのかもしれません。

次章では、保護率の高い都道府県を紹介します。