6月はボーナスの支給時期でもあり、家計の見直しや資産の整理に目を向ける家庭も多い時期です。自然と家族でお金の話をする機会が増え、「これからのお金の使い方」や「もしものときの備え」について話題に上ることもあるでしょう。

そんな中で、意外と話しにくいけれど気になるテーマが「相続」にまつわるお金のこと。

人生において相続手続きというものは、そう何度も行うものではありません。そのため、いざ相続が発生した時に何をすべきか、不安に思う人もいるでしょう。

本記事では、相続時の銀行預金の取り扱いや、口座凍結前に名義人以外が預金を引き出すリスクについても解説します。

1. 役所に死亡届を提出すると「亡くなった方の銀行口座」はどうなるの?

多くの人は「死亡届を出した時点で口座が凍結される」と考えがちですが、実際には死亡届の提出だけでは口座の凍結は行われません。

口座が凍結されるのは、親族などが銀行に故人の死亡を連絡したときです。

つまり、銀行が「名義人の死亡を正式に把握した時点」で口座は凍結されます。

稀に、銀行の担当者が訃報欄や葬儀の情報から死亡を知り、確認後に口座凍結に至るケースもありますが、一般的には親族からの連絡がきっかけとなります。

重要なのは、「銀行同士で死亡情報が自動的に共有されるわけではない」点です。

複数の銀行に口座がある場合は、それぞれの銀行に個別に死亡の届け出をする必要があります。

ただし、同じ銀行の異なる支店であれば、一度の届け出でその銀行内のすべての口座が凍結されます。

なお、銀行に死亡の連絡をしなければ口座は凍結されず、届け出前に口座から現金を引き出すことも技術的には可能です。

しかし、その段階で他者が現金を引き出すと、さまざまなトラブルやリスクが生じる恐れがあるため注意が必要です。