2. 富裕層・超富裕層の金融資産が増えている理由は?
富裕層・超富裕層の金融資産が増えているのは、株式や投資信託といった資産額が増えたことが考えられます。
2023年は、日経平均株価が年間上げ幅7369円を記録し、デフレ脱却への期待が高まりました。また、為替も1月時点では127円台となっていましたが、次第に円安方向へ傾き、11月には151円台をつけました。株価の急騰によって株式が、円安によって外貨建ての資産の価値がどんどんと上昇していき、資産額が増えていったのです。
また、高齢化社会による相続の増加も資産が増えている要因でしょう。国税庁の「令和5年度 相続税の申告実績の概要」によれば、被相続人数および相続税の納税者は以下のとおりです。
2022年度
- 被相続人数:156万9050人
- 相続税の納税者数:157万6016人(対前年比:100.4%)
2023年度
- 被相続人数:32万9444人
- 相続税の納税者数:33万9098人(対前年比:102.9%)
被相続人数、相続税の納税者数ともに増加傾向にあり、相続の発生件数が増えていることがわかります。
相続が発生すると、預貯金や不動産といった資産を相続人が引き継ぎます。そのため、急激に資産額が増えて富裕層とみなされるケースがあるのです。
こうした状況から「知らないうちに富裕層クラスの資産を保有していた」という状況を、株式会社野村総合研究所では「いつの間にか富裕層」と定義しました。私たちがこうした層に近づくには、どのような工夫が必要なのでしょうか。次章で解説します。