9. 高年収でも安心できない?受給額に差がつく理由とは
年収が高ければ、将来も多くの年金がもらえると考える方も多いのではないでしょうか。
実は、現役時代に高収入だったにもかかわらず、年金額が思ったほど増えないケースも少なくありません。その背景には、年金制度のしくみがあります。
9.1 加入期間が短いと年金額も少なくなる
厚生年金の受給額は「報酬の額」と「加入期間」によって決まります。
高収入でも、働いた期間が短いと保険料の支払い総額が少なくなり、結果として年金も増えません。たとえば、50歳で早期退職した場合などが該当します。
9.2 扶養やパート勤務の影響
結婚や子育てなどで配偶者の扶養に入っていた期間は、自分で保険料を払っていないため、年金額には反映されません。
また、年収130万円未満のパート勤務も同様です。高収入の時期があっても、こうした「空白期間」があると年金額が減ってしまいます。
9.3 自営業やフリーランスは定額制
国民年金は定額制のため、いくら高収入でも年金額は一定です。厚生年金に加入していない場合、老後の収入が予想以上に少なくなる可能性があります。
高収入=高年金とは限りません。加入期間や働き方を意識することが、将来の備えにつながります。
10. 自分の年金見込額を知ることから始めよう
老後に年金をどのくらい受給できそうか、見込額は「ねんきん定期便」から把握できます。
また、厚生労働省の公的年金シミュレーターでは、過去の年金加入状況や年収などを入力し、今後の働き方や暮らし方も想定した年金見込額をシミュレーションすることも可能です。
なお、より詳細にシミュレーションしたい場合は、ねんきん定期便の電子版「ねんきんネット」をご利用ください。
あくまでもシミュレーションであり将来の年金額を確約するものではありませんが、現状を確認したり、試算したりすることで今後のキャリアについて考える機会となるかもしれません。
自身の年金見込額を把握することから老後対策の第一歩を踏み出してみましょう。
参考資料
- 日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」
- 日本年金機構 年金用語集「た行 特定事業所」
- 日本年金機構「厚生年金の保険料」
- 厚生労働省「令和7年度の年金額改定についてお知らせします」
- 厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 政府広報オンライン「ねんきんネット」でいつでも最新の年金記録が確認できます!
- 厚生労働省「公的年金シミュレーター」
和田 直子