厚生労働省年金局「厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、2023年度末現在の老齢年金の平均月額は、国民年金が5万7584円、厚生年金(国民年金を含む)が14万6429円でした。
ただし、年金受給額は現役時代の働き方や暮らし方により個々で異なります。公的年金だけで老後生活をやりくりできる世帯もあればそうでない世帯もあるわけです。
ちなみに、高齢者世帯の総所得の平均内訳は以下のとおり(参照:厚生労働省「2023(令和5)年 国民生活基礎調査の概況」)。
- 公的年金・恩給:62.9%
- 財産所得:4.6%
- 年金以外の社会保障給付金:0.8%
- 仕送り・企業年金・個人年金などの所得:5.6%
- 稼働所得:26.1%
老後、公的年金以外に働いて収入を得たり、金融資産や不動産などの運用によって収入を得たりしている高齢者世帯が4割近くを占めていることがわかります。
本記事では、老齢年金(国民年金・厚生年金)の受給額データから、シニア世代の暮らしぶりを考察していきます。老後対策の参考にご確認ください。
1. 【公的年金】国民年金・厚生年金《加入者・保険料・年金額》
日本の年金制度の構造は、「2階建て」と表現されます。
これは、1階部分にあたる「国民年金(基礎年金)」と、2階部分にあたる「厚生年金」の2つの制度で構成されているためです。
それぞれの年金制度について、基本的な内容を振り返ってみましょう。
1.1 1階部分:国民年金の「加入者・保険料・年金額」
加入対象者はどんな人?
- 原則として日本に住む20歳から60歳未満の全員が加入
年金保険料はいくら?
- 全員一律、年度ごとに改定あり(※1)
老後の受給額はどう決まる?
- 保険料を全期間(480カ月)納付すれば満額の老齢基礎年金を受給可能(※2)
※1 国民年金保険料:2025年度月額は1万7510円
※2 国民年金(老齢基礎年金)の満額:2025年度月額は6万9308円
1.2 2階部分:厚生年金の「加入者・保険料・年金額」
加入対象者はどんな人?
- 会社員や公務員、またパートで特定適用事業所(※3)に働き一定要件を満たした場合に国民年金に上乗せで加入
年金保険料はいくら?
- 収入に応じて(上限あり)変動(※4)
老後の受給額はどう決まる?
- 加入期間や納めた保険料により個人差あり
国民年金と厚生年金は、加入対象や年金保険料の設定、老後に受け取る年金額の計算方法が異なります。
そのため、現役時代の年金加入状況によって、実際の受給額には個人差が生じます。
次に、厚生労働省が発表した2025年度の年金額改定について詳しく見ていきましょう。
※3 特定事業所:1年のうち6カ月間以上、適用事業所の厚生年金保険の被保険者(短時間労働者は含まない、共済組合員を含む)の総数が51人以上となることが見込まれる企業など
※4 厚生年金の保険料額:標準報酬月額(上限65万円)、標準賞与額(上限150万円)に保険料率をかけて計算されます。