物価上昇が続く今、数カ月前には100円で買えたものが、今は150円になっている…と感じることがスーパーでも増えてきたのではないでしょうか。

贅沢をしているつもりはなくても、なぜか貯蓄のスピードが落ちたという方がいるかもしれませんね。

じわりじわりと家計に影響を与える物価高。特に収入源が年金に限られることが多いシニアにとって、苦しい思いをしてしまうかもしれません。

年金収入が少ない人に対しては、「年金生活者支援給付金」が支給される可能性があります。これは一時的な給付金ではなく、継続的な支援なので申請漏れには注意したいですね。

シニアの6割が「生活が苦しい」と感じる現代において、必ず知っておきたい給付金について解説します。

1. シニアの6割が「生活が苦しい」と感じる現代

厚生労働省の「2023(令和5)年 国民生活基礎調査の概況」によると、高齢者世帯の約59.0%が生活が「大変苦しい」もしくは「やや苦しい」と回答していたことがわかりました。

「大変苦しい」もしくは「やや苦しい」と答えた割合1/6

「大変苦しい」もしくは「やや苦しい」と答えた割合グラフ

出所:厚生労働省「2023(令和5)年 国民生活基礎調査の概況」

 

1.1 全世帯の生活調査結果

  • 大変苦しい:26.5%(前回20.2%)
  • やや苦しい:33.1%(前回31.0%)
  • 普通:35.8%(前回42.1%)
  • ややゆとりがある:3.9%(前回5.5%)
  • 大変ゆとりがある:0.7%(前回1.1%)

1.2 高齢者世帯の生活調査結果

  • 大変苦しい:26.4%(前回18.1%)
  • やや苦しい:32.6%(前回30.2%)
  • 普通:36.7%(前回45.1%)
  • ややゆとりがある:3.9%(前回2.5%)
  • 大変ゆとりがある:0.4%(前回0.8%)

注目したいのは、「大変苦しい」もしくは「やや苦しい」と答えた割合がいずれも上昇していることです。

コロナ禍では消費控えなどもありましたが、これ以降に物価の上昇がどんどん進む中で、高齢者の生活はますます厳しさを増しているといえます。

一方で、年金収入が低い人は「年金生活者支援給付金」が支給される可能性もあります。

次章で詳しく見ていきましょう。

2. 年金生活者支援給付金とは?2カ月に一度支給!

「年金生活者支援給付金」は、低所得の年金受給者の生活を支えるための給付金制度です。財源の一部には消費税率の引き上げ分が充てられています。

一度限りの給付金ではなく、2カ月に一度、年金に上乗せして支給されるというもので、受給中の年金に合わせて以下の3種類が設けられています。

  • 老齢年金生活者支援給付金(補足的老齢年金生活者支援給付金)
  • 障害年金生活者支援給付金
  • 遺族年金生活者支援給付金

このうち、シニア世帯の暮らしとかかわりが深い「老齢年金生活者支援給付金」の支給要件について見ていきましょう。

3. 【老齢年金生活者支援給付金】どんな人がもらえるのか

「年金生活者支援給付金」の支給要件2/6

「年金生活者支援給付金」とは?

出所:厚生労働省「年金生活者支援給付金制度」について

ここからは、老齢年金生活者支援給付金の支給要件を確認していきましょう。

3.1 「老齢年金生活者支援給付金」の対象者

「老齢年金生活者支援給付金」対象となるのはどんな人?3/6

年金生活者支援給付金制度について

出所:厚生労働省「年金生活者支援給付金制度について」

老齢年金生活者支援給付金が支給されるのは、以下の要件を全て満たす方です。

  • 65歳以上の老齢基礎年金の受給者
  • 同一世帯の全員が市町村民税非課税
  • 前年の公的年金等の収入金額とその他の所得との合計額が昭和31年4月2日以後生まれの方は88万9300円以下、昭和31年4月1日以前生まれの方は88万7700円以下

老齢年金生活者支援給付金の判定に、障害年金・遺族年金等の非課税収入は含まれません。

また「基準額ギリギリで給付対象となる人」との間に不公平感が生じないように、「基準額をわずかに超えて給付対象外となる人」は「補足的老齢年金生活者支援給付金(※)」の支給対象となります。

※補足的老齢年金生活者支援給付金

1956(昭和31)年4月2日以後に生まれた方で78万9300円を超え88万9300円以下である方、1956年4月1日以前に生まれた方で78万7700円を超え88万7700円以下である方には「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給されます。所得が増えるにつれて、補足的老齢年金生活者支援給付金の給付額は減ります。

続いて、気になる給付額を見ていきましょう。実は2025年度は2.7%引き上げられます。

4. 年金生活者支援給付金はいくら?2025年度は2.7%引き上げ

2025年度の「年金生活者支援給付金」の給付金額は、前年度から2.7%の引き上げとなります。

【2024年・2025年】年金生活者支援給付金の支給金額4/6

年金生活者支援給付金の支給金額

出所:日本年金機構令和7年4月分からの年金額等についてをもとにLIMO編集部作成

4.1 2025年度の給付基準額

  • 老齢年金生活者支援給付金・基準額(月額):5450円

老齢年金生活者支援給付金の基準額は月額5450円ですが、実際には保険料納付済期間等に応じて計算されます。

なお、厚生労働省発表の「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、2024年3月における老齢年金生活者支援給付金の平均給付月額(※)は4014円でした。

この差は老齢基礎年金の保険料納付済期間や免除期間によって、給付額が減額されるケースが多いということでしょう。

※2024年3月において認定されている平均給付金額

では、そもそも公的年金の平均額はどれほどなのでしょうか。次章では公的年金の平均月額を確認しておきます。

5. 国民年金と厚生年金の平均年金月額

ここからは厚生労働省の「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとに、国民年金と厚生年金の平均年金月額を紹介します。

国民年金・厚生年金《平均月額と個人差》5/6

国民年金・厚生年金の平均月額(男女全体・男女計)

出所:厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況をもとにLIMO編集部作成

5.1 国民年金の平均月額

  • 〈全体〉平均年金月額:5万7584円
  • 〈男性〉平均年金月額:5万9965円
  • 〈女性〉平均年金月額:5万5777円

5.2 厚生年金の平均月額

  • 〈全体〉平均年金月額:14万6429円
  • 〈男性〉平均年金月額:16万6606円
  • 〈女性〉平均年金月額:10万7200円

平均月額は国民年金(老齢基礎年金)が5万円台、厚生年金(国民年金部分も含む)で14万円台となっていますが、グラフで示されているように、実際の受給額には大きな個人差があります。

これは、個々の働き方(正社員、パート、自営業など)、厚生年金の加入期間、加入時の賃金、国民年金の保険料納付状況などが大きく影響するためです。

厚生年金で月額25万円以上を受け取るような高額受給者は、長期間にわたり高い収入で厚生年金に加入していたと考えられます。

一方で、国民年金・厚生年金ともに月額2万円未満となる低年金の方は、非正規雇用期間が長かった、保険料の未納期間や免除期間が多い、といった状況が考えられます。

年金生活者支援給付金のような制度は、低年金の方の生活を支える上で重要な役割を果たしていると言えそうです。

6. 年金生活者支援給付金の振り込みはいつ?

年金生活者支援給付金の支給日は、公的年金と同じです。

年6回に分けて偶数月の15日に支払われます。なお、15日が土日または祝日のときは、その直前の金融機関の営業日に支払われます。

これにより、次回支給日は6月13日となっています。

(通帳には2つの振り込みが記載されます)

年金の支給日カレンダー6/6

出所:日本年金機構「年金はいつ支払われますか。」をもとにLIMO編集部作成

2025年の年金の支払日は上記のとおりです。

各支払月には、原則、その前月までの2カ月分の年金生活者支援給付金が支払われます。例えば、4月に給付されるのは、2月分および3月分の年金生活者支援給付金です。

7. まとめにかえて

物価高が進む中で、老後を不安に感じる方は多いです。

老後2000万円問題などもありましたが、個人にとって必要な金額は異なります。また、今回紹介したような公的なお金がもらえる可能性もあるので、「収入」はできるだけ正確に知っておきましょう。

そのあと、老後の支出額をシミュレーションしてみます。今の生活費から何割削減できそうか、住宅ローンの支払いは何歳で終わるのかなどを考えてみることが大切です。

このフローにより、老後の不足額がある程度わかってくるので、そこから老後対策を始めることになります。

準備方法も貯金だけでなくNISAやiDeCo、保険などさまざまな種類があるので、どんな方法があっているのかを考えてみましょう。

参考資料