4. どうして都道府県で保険料率に差があるの?
協会けんぽの健康保険料率は、都道府県ごとに異なっています。その理由は、各地域の医療費水準や加入者の年齢構成、医療機関の数など、さまざまな要因によって保険財政のバランスが変わるためです。
4.1 医療費の地域差が影響する
保険料率の最も大きな要因の一つが、「地域ごとの医療費の差」です。
たとえば、ある地域で病院にかかる頻度や医療サービスの単価が高ければ、保険から支出される医療費も増えるため、それに見合った保険料を徴収する必要が出てきます。
厚生労働省が公表している「令和4(2022)年度 国民医療費の概況」によると、最も医療費が高いのは高知県(約47万9000円)、最も低いのは埼玉県(約33万2000円)と、10万円以上もの差があります。
こうした差が、保険料率の設定に直接影響しています。
4.2 高齢化率や加入者の年齢構成も影響
高齢者の多い地域では、病気やケガによる医療費が増加する傾向があります。
協会けんぽの加入者は主に現役世代(企業に勤める人)が対象ですが、その扶養家族にも医療費が支払われるため、人口構成も重要な要素となります。
4.3 都市部は医療機関が多く競争があるため、単価が抑えられやすい?
また、都市部では医療機関同士の競争や医療サービスの効率化が進んでいることもあり、医療費の単価が比較的抑えられる傾向もあります。
さらに、都市部では会社員や若年層が多く加入する傾向があるため、比較的保険財政が安定しやすいという背景もあります。
このように、保険料率の違いは単に地域差というよりも、「医療の使われ方」や「地域の人口構成」など、複数の要因によって決まっているのです。
住んでいる地域によって保険料率に違いが出るのは、このような背景があることを押さえておきましょう。