本記事では、厚生年金を基礎年金を含めて月額15万円以上受け取る人がどのくらいいるか、という視点から、年金受給者の現状を考察していきます。
また、基礎年金を受給する人のうち年間の所得が一定額に満たないなどの要件を満たす人を対象に、年金生活者支援給付金が支給されているのをご存じでしょうか。基礎年金に上乗せする形で、2カ月に1度支給されます。
この制度は2019年10月にスタートしたもので、給付額は国民年金保険料の納付済月数や免除期間などにより決定します。
比較的新しい制度ということもあり、制度自体を知らない人もいるでしょう。もし対象となる場合は申請が必要となるため、支給要件や給付基準額などを解説していきます。
1. 【厚生年金】基礎年金とあわせて「月額15万円以上」受給する人の割合は半数以下?!
厚生年金の受給額に関して、思っていたより少ないと感じた方もいるかもしれません。実際に、どれほどの人が月に15万円以上の年金を受け取っているのでしょうか。
厚生労働省年金局が発表した「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金(基礎年金を含む)の平均月額は14万6429円。
男女別に見ると、男性は16万6606円、女性は10万7200円となっており、性別による差も見られます。※国民年金も含まれた金額です
以下で詳しく見ていきましょう。
1.1 厚生年金「月額15万円以上」の人はどのくらいいる?
〈全体〉平均年金月額:14万6429円
〈男性〉平均年金月額:16万6606円
〈女性〉平均年金月額:10万7200円
※国民年金の金額を含む
1.2 「厚生年金」の受給額ごとの人数
- 1万円未満:4万4420人
- 1万円以上~2万円未満:1万4367人
- 2万円以上~3万円未満:5万231人
- 3万円以上~4万円未満:9万2746人
- 4万円以上~5万円未満:9万8464人
- 5万円以上~6万円未満:13万6190人
- 6万円以上~7万円未満:37万5940人
- 7万円以上~8万円未満:63万7624人
- 8万円以上~9万円未満:87万3828人
- 9万円以上~10万円未満:107万9767人
- 10万円以上~11万円未満:112万6181人
- 11万円以上~12万円未満:105万4333人
- 12万円以上~13万円未満:95万7855人
- 13万円以上~14万円未満:92万3629人
- 14万円以上~15万円未満:94万5907人
- 15万円以上~16万円未満:98万6257人
- 16万円以上~17万円未満:102万6399人
- 17万円以上~18万円未満:105万3851人
- 18万円以上~19万円未満:102万2699人
- 19万円以上~20万円未満:93万6884人
- 20万円以上~21万円未満:80万1770人
- 21万円以上~22万円未満:62万6732人
- 22万円以上~23万円未満:43万6137人
- 23万円以上~24万円未満:28万6572人
- 24万円以上~25万円未満:18万9132人
- 25万円以上~26万円未満:11万9942人
- 26万円以上~27万円未満:7万1648人
- 27万円以上~28万円未満:4万268人
- 28万円以上~29万円未満:2万1012人
- 29万円以上~30万円未満:9652人
- 30万円以上~:1万4292人
厚生年金の受給者全体に占める「月15万円以上」の人の割合を確認すると、全体1605万人中、764万人が該当し、全体の47.6%にあたります。
つまり、厚生年金受給者の半分以上は月15万円未満であることがわかります。
たとえば、「月額10万円以上〜11万円未満」の人は112万人、「15万円以上〜16万円未満」は約99万人など、比較的多くの受給者が10〜18万円の範囲に分布しています。一方で、月額30万円以上受け取っている人は1万4000人あまりと、ごく一部に限られています。
また、2024年度時点の国民年金(満額)の月額は約6万8000円で、厚生年金に加入していない人はこの程度が上限となります。そういった層を含めると、「15万円以上」の割合はさらに下がる可能性があります。
収入が十分でない年金世帯に向けては、「年金生活者支援給付金」という補助制度が設けられています。一定の条件を満たせば、毎月の年金に加えて追加の給付を受けることができ、生活の支えになる場合があります。
どのような条件を満たした人がこの給付金を受け取れるのでしょうか。次の章で詳しく解説します。