3. 年金制度の将来と改革の動き

日本の年金制度は、「現役世代が高齢者を支える」という仕組みで成り立っています。しかし、少子高齢化が進む中で、この構造が大きな転換点を迎えています。

3.1 年金制度が抱える課題とは?

出生率の低下と長寿化によって、年金の支え手である現役世代が減少し、受け取り手である高齢者が増加しています。これにより、次のような問題が懸念されています。

  • 将来の年金額が減る可能性:保険料収入が減ることで、年金の給付水準が下がる可能性があります。
  • 現役世代の負担が増える懸念:制度を維持するには、働く世代がより多くの保険料を支払わなければならなくなるかもしれません。
  • 制度そのものへの不安:このままの形で制度が続けられるのか、将来への不透明感が高まっています。

3.2 今後の改革の方向性

こうした課題に対応するため、政府は以下のような対策を進めています。

  • 給付と負担のバランス調整:経済状況に応じて年金額を自動的に調整する「マクロ経済スライド」や、パート・アルバイトなど短時間労働者も厚生年金に加入できる制度拡大などが行われています。
  • 働き方の多様化への対応:非正規やフリーランスでも将来の備えができるよう、iDeCoやNISAなどの活用が奨励されています。
  • 高齢者の就労促進:65歳以降も働くことで年金を増やせる制度の見直しなどが進められ、年金を「もらう」だけでなく「支える側」としての役割も期待されています。

これからの年金制度は、支え方も受け取り方も、柔軟に変化していくことが求められています。

参考資料

和田 直子