3. 【申請しないと受け取れないお金】雇用関連3つ
続いて、シニア世代の「雇用」に関する公的制度を見ていきましょう。
3.1 高年齢求職者給付金
高年齢求職者給付金は、65歳以上の高年齢被保険者が離職し、再就職を希望する際に支給される一時金です。
支給要件
- 離職日以前の1年間に、雇用保険の被保険者期間が通算して6か月以上あること
- 失業の状態にあること
支給額
被保険者期間が1年未満:基本手当日額の30日分
被保険者期間が1年以上:基本手当日額の50日分
申請手続き
離職票を持参し、ハローワークで求職の申込み
3.2 高年齢雇用継続基本給付金
高年齢雇用継続基本給付金は、60歳以上65歳未満の一般被保険者が、60歳到達時の賃金月額に比べて75%未満に低下した場合に支給される給付金です。
支給要件
- 被保険者であった期間(※)が5年以上あること。
- 支給対象月の初日から末日まで被保険者であること。
- 支給対象月中に支払われた賃金が、60歳到達時等の賃金月額の75%未満に低下していること。
- 支給対象月中に支払われた賃金額が、支給限度額未満であること。
- 申請後、算出された基本給付金の額が、最低限度額を超えていること。
- 支給対象月の全期間にわたって、育児休業給付または介護休業給付の支給対象となっていないこと。
(※)「被保険者であった期間」とは、雇用保険の被保険者として雇用されていた期間の全て。なお、離職等による被保険者資格の喪失から新たな被保険者資格の取得までの間が1年以内であること及びその間に求職者給付及び就業促進手当を受給していない場合、過去の「被保険者であった期間」として通算。
支給額
賃金の低下率に応じて、以下のように支給率が決定されます。
- 低下率が61%以下:支給対象月の賃金に対して15%
- 低下率が61.5%~75%以上:同 14.35%~0%
申請手続き
勤務先を通じて必要書類をハローワークに提出
3.3 再就職手当
再就職手当は、雇用保険の基本手当(失業給付)を受給中の方が、所定給付日数の3分の1以上を残して安定した職業に早期再就職した場合に支給される手当です。 なお、前述の「高年齢再就職給付金」と併給ができません。
支給要件
- 待期期間(7日間)経過後の就職であること
- 基本手当の支給残日数が所定給付日数の3分の1以上あること
- 同じ事業主への就職でないこと
- 給付制限期間がある場合、待機期間満了後1ヶ月間はハローワークまたは職業紹介事業者の紹介によって就職したこと
- 再就職先で1年以上の雇用が見込まれること
- 雇用保険の被保険者であること
- 過去3年以内に再就職手当または就業手当を受給していないこと
- 受給資格決定前に採用が内定していないこと
支給額
支給残日数が所定給付日数の3分の2以上の場合: 70%
支給残日数が所定給付日数の3分の1以上の場合: 60%
基本手当日額の上限
60歳未満: 6395円
60歳以上65歳未満: 5170円
申請手続き
再就職手当支給申請書と必要書類を、再就職日の翌日から1か月以内にハローワークに提出
4. まとめにかえて
シニア向けに活用できる給付金・補助金・手当には、申請しないと受け取れないものが多い一方、要件を満たせば家計負担を大きく減らす助けになります。
とりわけ日本は高齢化社会の真っただ中にあり、各種制度の見直し・拡充が行われるタイミングも増えています。
今後さらに制度改定が進む可能性もあるため、年金機構やハローワークなどの最新情報をチェックし、該当する可能性があれば早めに手続きを進めることが大切です。
参考資料
- 厚生労働省「離職されたみなさまへ」
- 厚生労働省「Q&A~高年齢雇用継続給付~」
- 厚生労働省「「高年齢雇用継続基本給付金」 「高年齢再就職給付金」」
- 厚生労働省「再就職手当のご案内」
- 厚生労働省「年金生活者支援給付金制度について」
- 日本年金機構「加給年金額と振替加算」
- 厚生労働省「令和7年度の年金額改定についてお知らせします~年金額は前年度から 1.9%の引上げです~」
加藤 聖人