5.2 【富裕層が増加した背景2】非課税枠のある投資制度の充実による資産形成機会の拡大

将来への投資

将来への投資

出所:takasu/shutterstock.com

また、NISAやiDeCoなどの税制優遇制度の登場も無視はできません。旧NISAは以前からありましたが、やはり多くの人が投資を始めたきっかけというと、2018年にはじまった「つみたてNISA」は多いのではないでしょうか。

NISA制度は2024年より「新しいNISA(いわゆる新NISA)」として展開されています。

10年近い期間を経て、こうした非課税枠のある投資制度の拡充により、個人が資産形成に関わる機会は増えてきました。

10年前に投資に興味がなかった人も、NISAなどの制度をきっかけとして証券投資をはじめたという人は多かったのではないでしょうか。

先ほども指摘した通り、世界的に株価はこれまで長期にわたり上昇傾向にあり、早い段階で資産形成を始めた人ならば相応の利益が出ていることが推測できます。

5.3 【富裕層が増加した背景3】相続や贈与によるもの

富裕層になった人のなかには、相続や贈与から多額の資金を手に入れた人もいるでしょう。

高齢化が進む日本では、親などから資産を受け継ぐ人が増え、結果として富裕層の数が増えている可能性もあります。

一般的な家庭であっても「遺産分割で祖父母の遺産を継いだ」という人も少なくありません。

こういった株式市場の好調さ、資産形成の機会拡大、また人口動態の変化などが、富裕層の増加に寄与した可能性があります。

なかには、本人の意図しないところで富裕層の仲間入りを果たした、という人もいるでしょう。

6. まとめにかえて

ここまで「純金融資産1億円以上」の富裕層が、日本でどれくらい増加したのか見てきました。

物価の高騰により多くの家計に負担が生じている一方で、富裕層は2021年から2023年にかけて14万世帯も増加しています。

富裕層は「お金を稼ぐ」「生活や娯楽などでお金を使う」ことに加え、「お金を増やす」ことを目的とした資産運用に取り組む方が多い傾向にあります。

「将来に向けて資産運用をはじめたい」と考えている方は、今回ご紹介した「富裕層の資産運用」における3つの特徴を参考にして、家計やライフスタイルに合った資産運用を検討してみてはいかがでしょうか。

参考資料

安達 さやか