日本国憲法では、「すべて国民は健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」と保障されていることから、生活保護制度が定められています。

昨今の物価高によって、最低生活費の基準も変わってきていることから、5年に1度、生活扶助の見直しを行っています。2025年度は、これまでの月1000円の特例加算に、さらに500円が上乗せとなり、月1500円の加算となります。

本記事では、今回の加算の背景を解説するとともに、生活保護制度の仕組みや受給世帯数などの実態についてもお伝えします。

1. 2025年度から「生活扶助」月1500円加算

生活保護制度の生活保護費のうち、食費や光熱費、被服費などの日常生活に必要な費用が「生活扶助」です。生活扶助の基準額は、地域や年齢、世帯の人数などに応じて1人ずつ支給される基準額が決められ、原則として5年に1度見直しが行われます。基準額は国の調査に基づき、生活保護を受けていない低所得世帯とのバランスを踏まえて決められます。

厚生労働省は2023年の基準額の見直しで、物価の高騰などを考慮して、2024年度までの2年間、1人あたり月額1000円を特例として加算し、この加算をしても見直し前に比べて生活扶助の基準額が減る人については、元の水準で据え置くことを決めました。

その後も物価、賃金などが上昇基調にあることや世帯の消費額の増加を踏まえて、2025年度と2026年度の2年間、1人あたりさらに500円を上乗せして、月1500円の加算となりました。

また、今回の月1500円を加算しても2023年度の見直し前に比べて基準額が減る人に対しては、元の水準で据え置く措置を継続するということです。