3. 生活保護世帯は増えている?
厚生労働省の被保護者調査によると、2024年の生活保護の申請件数は、前年より0.3%増えて25万5897件となり、この12年間で最も多くなりました。生活保護を実際に受給している世帯数の増加よりも申請件数の増加の方が顕著です。申請件数の増加は昨今の物価上昇が影響していると考えられます。
生活保護受給世帯の世帯類型をみてみると、高齢者の単身世帯が最も多く、84万415世帯と、全体のおよそ半数を占めています。低年金の単身高齢者が増えていることが要因になっているようです。
世帯類型別世帯数および割合
- 高齢者単身世帯・・・84万415世帯(51.1%)
- 高齢者2人以上世帯・・・6万2395世帯(3.8%)
- 母子世帯・・・6万2510世帯(3.8%)
- 障害者・傷病者世帯・・・41万5394世帯(25.3%)
- その他の世帯・・・26万2397世帯(16.0%)
※保護停止中は含まない
4. まとめにかえて
生活保護は、生活に困窮している人に対して必要な保護を行う制度です。今回の特例加算は生活費の補助として有効ですが、現在の物価高を踏まえると、支出の増加に十分対応できるとは言い切れません。
政府は2027年度の予算編成の過程において改めて検討する方針を示しており、5年ごとに実施される生活保護基準の見直しを1年前倒しで実施し、その結果を適切に反映すると明言しています。
一方で、生活保護の不正受給などの課題も依然として存在します。本当に支援が必要な人が生活保護の利用にたどり着けるような取り組みの強化に期待したいと思います。
参考資料
- 厚生労働省「生活保護制度」
- 財務省「令和7年度社会保障関係予算のポイント」
- 厚生労働省「生活保護制度に関するQ&A」
- 厚生労働省「被保護者調査:調査の結果」
- 厚生労働省「被保護者調査(令和6年12月分概数)」
石倉 博子