梅雨が明け、真夏の強い日差しが照りつける7月。帰省や家族の集まりが増えるこの季節は、自然と身近な人のこれからについて話す機会も多くなります。

そうした中で話し合っておきたいのが、「万が一のことがあったときの備え」について。突然直面するかもしれないのが、ご家族の相続とともに起こる「銀行口座の凍結」です。

名義人が亡くなると、その方の銀行口座は原則として凍結され、自由に預金を引き出すことができなくなります。

しかし実は、一定の条件を満たせば、預金の一部を引き出すことができる制度があるのをご存知でしょうか。

本記事では、この制度の内容や口座凍結の流れについて、初めての方にもわかりやすく解説します。

1. 【即凍結?】役所に死亡届を出すと「亡くなった方の銀行口座」はどうなる?

多くの方は「死亡届を出した時点で口座が凍結される」と誤解しがちですが、実際には死亡届の提出だけでは銀行口座は凍結されません。

口座が凍結されるのは、親族などが銀行に対して故人の死亡を正式に報告した時点です。

つまり、銀行側が「名義人の死亡を把握した時点」から口座は凍結されることになります。

ごく稀に、銀行の担当者が訃報欄や葬儀の情報を知り、口座を凍結するケースもありますが、通常は親族からの連絡がきっかけとなります。

また、銀行間では故人の死亡情報は自動的に共有されないため、もし複数の金融機関に口座がある場合は、それぞれの銀行へ個別に死亡の届出をしなければなりません。

ただし、同じ銀行内の複数支店に口座を持っている場合は、一度の届出でその銀行内のすべての口座が対象になります。

なお、銀行へ死亡の報告がされていなければ、口座は凍結されないため、届出前であれば引き出し自体は技術的に可能です。

しかし、その段階で他の人が口座から現金を引き出すと、後にトラブルや法的リスクが生じる恐れがあります。