2. 生活保護制度の仕組み

生活保護制度は、生活に困窮する人に対し、その困窮の程度に応じて必要な保護を行い、健康で文化的な最低限度の生活を保障するとともに、自立を助長することを目的としています。

2.1 生活保護の受給要件

生活保護を受けるための条件をみていきましょう。

生活保護は世帯単位で判断します。生活保護を受けるためには、世帯内の資産や収入、労働能力などを活用することが前提となっています。

資産の活用

預貯金や生活に利用していない土地・家屋等があれば売却して生活費に充てなければならない。

能力の活用

働くことが可能な人は、その能力に応じて働く必要がある。

あらゆるものの活用

年金や手当など他の制度で給付を受けることができる場合は、まずそれらを活用しなければばらない。

扶養義務者の扶養

親族等から援助を受けることができる場合は、援助を受ける。

これらを行った上でなお、世帯の収入と厚生労働大臣の定める基準で計算される最低生活費を比較して、収入が最低生活費に満たない場合に、保護が適用されます。

2.2 生活保護費の例

厚生労働大臣が定める基準である「最低生活費」から、年金や児童扶養手当などの収入を差し引いた差額が保護費として支給されます。

最低生活費は、住んでいる地域や世帯の構成によって異なります。以下は生活扶助基準額(食費・光熱費・被服費などの生活費)の例です。

生活扶助基準額の例(令和5年10月1日時点)

生活扶助基準額の例(令和5年10月1日時点)

出所:厚生労働省「生活保護制度に関するQ&A」をもとに筆者作成

生活扶助基準額の例(令和5年10月1日時点)

<3人世帯(33歳、29歳、4歳)>
16万4860円(東京都区部等)、14万5870円(地方郡部等)

<高齢者単身世帯(68歳)>
7万7980円(東京都区部等)、6万8450円(地方郡部等)

<高齢者夫婦世帯(68歳、65歳)>
12万2460円(東京都区部等)、10万8720円(地方郡部等)

<母子世帯(30歳、4歳、2歳)>
19万6220円(東京都区部等)、17万4800円(地方郡部等)

※児童養育加算等を含む