エンゲル係数という言葉をご存じでしょうか?エンゲル係数とは、消費支出に占める食費の割合を指すものです。
総務省によると、24年は28.3%と1981年以来の高水準となり、これは生活費のうち約三割を食費が占めている、ということになります。
FPとして将来資金準備の必要性をお伝えする中で、「老後は今より生活水準を下げて年金だけで生活していく予定です」とおっしゃるかたもたまにいらっしゃいます。
生活水準を下げるために、趣味を我慢したり、浪費を減らしたりすることはできても、「食事をとらない」というわけにはいきません。
日々の食費や光熱費を押し上げ、多くの家庭の家計を圧迫しています。
このように物価高騰の波が押し寄せる中、政府は昨年、物価高騰の影響を受けやすい低所得世帯への支援策として「住民税非課税世帯への3万円給付金」を、2024年度補正予算(2024年12月成立)に盛り込みました。
各自治体でその給付の手続きが進められています。
次章で、この給付金の概要を整理しましょう。
※対象世帯となる要件や、給付スケジュール、申請方法については、自治体により異なります。
ホームページや広報誌などで最新情報を確認してください。LIMOでは個別のお問い合わせ、ご相談への対応はいたしかねます。
1. 【最新3万円給付金】住民税非課税世帯への支援内容をわかりやすく解説
この給付金は、物価高騰の影響を受けやすい低所得世帯を支援するために、政府が実施するものです。住民税非課税世帯には、1世帯あたり3万円が給付されます。
支給対象となる世帯のうち子育て世帯には、18歳以下の児童1人につき2万円が「こども加算」として加算されます。
では、ここで挙がった「住民税非課税」とは、いったいどのような要件を満たす世帯なのでしょうか。公的な支援の対象要件となることが多い「住民税非課税」について、次章で確認していきましょう。
2. 住民税非課税世帯ってどんな世帯?対象となる条件をチェック
「住民税非課税世帯」とは、今回の給付金のような公的支援の対象基準としてよく使われる区分です。
住民税は、大きく分けて以下の2つから構成されます。「住民税非課税世帯」とは、これらの「均等割」と「所得割」の両方が免除されている世帯を指します(※)。
- 均等割: 所得に関係なく一律で課税される部分
- 所得割: 所得に応じて税額が決まる部分
※なお「住民税の所得割のみ非課税となるケース」もあります。ただし今回の給付金の対象となるかどうかは自治体により異なるため、必ずお住まいの市区町村などの基準をご確認ください。
2.1 「住民税非課税世帯」とは?
ここで、住民税が非課税となる要件を見てみましょう。以下のいずれかに該当する場合です。
- 生活保護を受けている
- 障害者、未成年者、寡婦、ひとり親で、前年の所得が135万円以下
- 前年の所得が各市町村の定める基準を下回る
ただし、3つめの所得基準は自治体ごとに異なり、生活している地域によって基準額に違いがあります。
続いては、この所得の基準額について詳しく見ていきしょう。
3. 【栃木県真岡市の例】住民税非課税になる所得の目安はいくら?
前章で述べたように、住民税が非課税となる所得要件は自治体により異なっています。
ここでは、栃木県真岡市の例を見てみましょう。
3.1 住民税非課税世帯の要件(栃木県真岡市の例)
(1) 生活保護法による生活扶助を受けている人
(2) 障がい者、未成年者、寡婦またはひとり親で前年中の合計所得金額が135万円以下の人
(3) 前年中の合計所得金額が【28万円×(本人+同一生計配偶者・扶養親族の人数)+10万円+17万円(※)】以下の人
(※)17万円は、同一生計配偶者または扶養控除の対象となる扶養親族を有する人について加算
真岡市の場合、単身世帯(同一生計配偶者や扶養親族がいない人)であれば、下記の計算式により、前年の合計所得金額が38万円まで、均等割がかからないことになります。
【28万円×(本人1+同一生計配偶者0+扶養親族0)+10万円=38万円】
ただし「所得」は、収入から各種控除がされたあとの金額です。収入換算の方がイメージしやすいかもしれませんね。
そこで住民税非課税限度額を、年収ベースで見ていきます。
3.2 住民税が非課税となる限度額(栃木県真岡市)
栃木県真岡市の場合、扶養人数が0人の場合、アルバイトやパートなどの「給与収入」ならば、住民税非課税限度額は収「93万円以下」です。
一方、年金収入のみであれば住民税非課税世帯となる限度額は上がります。65歳未満は「98万円」ですが、65歳以上になると「148万円」にまで引き上がります。
非課税限度額は扶養家族の数が多いほど高くなり、さらに65歳以上では収入が年金のみの場合はさらに引き上げられています。こういった理由で、老齢年金世帯は「住民税非課税世帯」となりやすいと考えられます。
4. 年金だけで暮らすと非課税に?老齢年金世帯が住民税非課税になりやすい理由
厚生労働省「令和5年国民生活基礎調査」を見てみると、
- 60歳代:78.3%
- 70歳代:64.1%
- 80歳代:47.5%
と、年代が上がるごとに、住民税が「課税される世帯」の割合は下がっていきます。老齢年金世帯は「住民税非課税世帯」となりやすいと言えるでしょう。
要因としては、現役時代よりも収入が減って住民税の課税基準を下回ることが多いからと考えられます。
また、遺族年金が非課税であることや、老齢年金には各種控除枠が大きく設けられていて課税対象となる所得が減少することも、要因の1つでしょう。
ただし、住民税非課税の判定の基準はあくまでも「収入」。
預貯金をたくさん持っているお金持ちシニアでも、年金収入が基準額以下で住民税非課税となる場合は、今回の給付金の支給対象に含まれることになります。
住民税非課税世帯に該当する世帯について見てきましたが、ここで注意したいのは、住民税非課税世帯は高齢者だけではなく、幅広い年齢層が含まれるという点です。
また、住民税非課税世帯が受けられる支援は、今回のような一時的な給付金だけではなく、多岐にわたります。下記のような公的な優遇措置についてもチェックしておくとよいですね。
- 国民健康保険料(応益割)の減額
- 介護保険料の減額
- 国民年金保険料の免除・納付猶予
- 幼児教育・保育の無償化
- 高等教育の修学支援新制度
これらの支援措置を活用することで、生活費の負担を軽減することができるでしょう。
5. 【年金の基本】65歳になると自動で年金は受け取れる?意外と知らない注意点
老齢年金世帯は「住民税非課税世帯」に該当しやすいとお伝えしました。ここでは、若い世代が最低限知っておきたい「年金」の基本について、説明します。
5.1 Q 国民年金は、65歳になると年金は自動的に受けられるのですか。
→A 年金を受け取るには手続きが必要です!
年金は、自動的に支払われるものではありません。年金を受け取るためには、ご自身で手続きを行う必要があります。
国民年金の請求手続きは、お住まいの市区町村役所の国民年金窓口で行います。ただし、第3号被保険者期間がある場合は、年金事務所または街角の年金相談センターで手続きを行います。
原則として、65歳の誕生日を迎えた後から年金の請求手続きを行うことができます。
年金を受け取るためには、ご自身で手続きが必要であることを覚えておきましょう。
6. まとめ:住民税非課税世帯と給付金について知っておこう
ここまで、物価上昇に対する国の対策について見ていきました。
日本は輸入大国のため、今回のアメリカの関税や、円安による輸入費の増加を考えると、今後もエンゲル係数は増えることが考えられます。
3万円の給付では、到底賄うことができないのではないでしょうか。
このような生活費の増加によって、生活が苦しくなっている世帯も少なくありません。ゆとりのある老後生活を送りたい!とお考えの場合、将来の生活費を今より多く見積もっておくと安心です。
将来国から受け取れる年金は、毎年誕生月に届く「年金定期便」や、金融機関が実施しているシュミレーションツールで試算することが可能です。
まずはご自身が受け取れるであろう年金額を把握して、将来いくら必要になるかを見える化するところから始めてみましょう。
7. 【年金のQ&A】制度の仕組みなどよくある質問にやさしく回答
「年金って難しそう…」と感じている人は、多いのではないでしょうか。でも、基本のポイントを押さえると、意外とシンプルなのです。ここでは、年金についてよくある疑問について、わかりやすくお答えしていきます。
7.1 年金の仕組みってどうなってるの?
まず、日本の公的年金は「2階建て」構造です。下の階が「国民年金」、その上に「厚生年金」があるイメージです。
国民年金
国民年金は、20歳から60歳未満の全員が加入対象。特に自営業やフリーランスの方がメインです。
毎月決まった金額を支払います。いわば、年金の基礎部分です。
厚生年金
厚生年金は、会社員や公務員の方が加入対象です。こちらは収入に応じて保険料が変わるので、もらえる年金額も収入の影響が大きくなってきます。
そのため、個人差が出やすくなっています。
7.2 「繰下げ受給」って実際どうなの?
通常、年金は65歳からもらうものですが、「まだ働けるし、今すぐ必要じゃない」という方には「繰下げ受給」という選択肢があります。簡単に言うと、年金の受け取りを後回しにして、もらう額を増やす方法です。
たとえば、65歳で受け取る予定を75歳まで繰り下げると、年金額が84%も増えるんです。
もし健康で他にも収入源があるなら、繰下げ受給を検討してみる価値は十分にあるでしょう。
7.3 年金や老後資金をもっと増やすには?
繰下げ受給以外にも、年金や老後資金を増やす手段はいくつかあります。
国民年金の付加保険料を払う
自営業やフリーランスの方は、少し追加で保険料を払うことで、将来もらえる年金額をアップできます。
厚生年金に加入する
もし可能なら、厚生年金に加入するのも手です。もし国民年金だけに加入していた場合、会社員になったり、厚生年金が適用されるような働き方を選ぶと、年金額が増えます。
資産運用に挑戦
iDeCo(個人型確定拠出年金)や投資信託での資産運用も有効です。
ただし、これは場合によっては元本割れのリスクもあるので、まずはしっかり調べてからスタートするのが大事。お金の増やし方も「焦らずじっくり」がポイントです。
これで、年金の仕組みが少しクリアになったでしょうか?
ちょっとずつでも理解を深めていくと、老後への不安が少しずつ減っていきますよ。将来に向けて、一緒に準備を始めていきましょう。







