3. 繰下げ受給のデメリットや注意点
「長生きリスク」なる言葉もある現代において、繰下げ受給制度は確かに魅力のある制度です。
しかし、検討の際には必ず注意点も把握しておく必要があります。
ここでは主な注意点を2つ解説します。
3.1 繰下げ受給の注意点1. 繰下げ待機期間中は加給年金額や振替加算が受け取れない
年下の妻や子どもがいる場合、加給年金が支給されます。家族手当のような役割を果たすものです。
例えば年下の配偶者が一定の要件を満たす場合、2024年度は1年あたり最大で40万8100円(年額)が年金に加算されます。
しかし、繰下げ待機期間(年金を受け取っていない期間)中は、加給年金額や振替加算を受け取ることができません。夫婦の年齢差によっては、総額で100万円以上受け取れないケースも発生するため、慎重に判断する必要があるでしょう。
また、加給年金額や振替加算額は増額の対象にならないことも注意が必要です。
3.2 繰下げ受給の注意点2. 税金や保険料の負担があがる
年金が増額されるということは、その分税金や保険料もあがる可能性があります。
これらのお金は、必ずしも比例するわけではありません。『年金が1万円増えれば、これまで非課税だった所得税と住民税が課税された』というケースもあります。
社会保険料も、軽減がかかるラインを超えることで一気に負担が高まることは少なくありません。
そのため、繰下げ受給を利用する方が手取りが減るという現象が発生してしまうこともあるでしょう。
税金や保険料を正確に試算することは難しいので、年金事務所や自治体窓口等で相談してみることをおすすめします。