5. 月額17万円の年金から天引きされる金額

厚生労働省の「令和5年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、65歳以上男性の厚生年金受給権者の平均受給額は約17万円です。

厚生年金の男女別・平均額

厚生年金の男女別・平均額

出所:厚生労働省「令和5年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成

単身年金生活者の月額が17万円(年額204万円)であると仮定して、年金から天引きされる金額を計算してみましょう。

  • 住民税の所得割は所得金額の10%、均等割は年額で6万円とする
  • 国民健康保険料と介護保険料は前述の江戸川区の計算方法を用いて計算する

これまで解説した計算方法を用いて、年金から天引きされる税金などの年額を計算します。

  • 所得税額=(204万円-158万円)×5.105%=約2万3000円
  • 住民税額=(204万円-153万円)×10%+6万円=約11万1000円
  • 社会保険料=(204万円-153万円)×15.18%+8万7000円=約16万4000円

これまで解説した計算方法を用いて、最初に天引きされる税金などの年額を計算します。

  • 所得税額=(204万円-158万円)×5.105%=約2万3000円
  • 住民税額=(204万円-153万円)×10%+6万円=約11万1000円
  • 国民健康保険料=(204万円-153万円)×12.55%+6万9000円=約13万3000円
  • 介護保険料:合計所得金額94万円(=204万円-110万円)で年8万7840円

上記の3つを合計すると、天引きの年額は約35万円です。

12か月で割って1月当たりの天引き額に換算すると約3万円となります。

天引き額は、年金収入の約18%です。配偶者控除など所得控除が多ければ課税所得は少なくなるため、天引き額も少なくなります。

6. まとめにかえて

一定以上の年金収入がある人は、年金から所得税や復興特別所得税、住民税、国民健康保険料(75歳以上の人は後期高齢者医療保険料)、介護保険料が天引きされます。

年金収入によって天引き額は大きく異なり、年金額が多い人ほど天引きされる割合は高くなります。

天引き額を計算するときは、正確な課税所得を算出するために所得控除を理解することがポイントです。

年金からの天引き額と手取り収入を確認して、家計収支を点検してみましょう。

参考資料

西岡 秀泰