2.2 生活扶助基準額の引上げによる影響

2024年12月11日、日本弁護士連合会では生活保護費に関して「物価高騰を踏まえた大幅引上げを求める会長声明」を発表しました。

同声明では、物価上昇による生活保護者への影響などについて次の通り述べています。

  • 消費者物価指数は2020年以降連続して上昇し、2020年を100とした2024年10月の消費者物価指数は109.5%(光熱・水道費は111.1%、食料費は120.4%)
  • 低所得者の家計に占める割合の高い光熱・水道や食料にかかる費用の著しい高騰が、生活保護利用世帯の家計を直撃している
  • 日本弁護士連合会の「全国一斉生活保護ホットライン」には、「保護費が低すぎて生活できない」などの相談が多数寄せられている。
  • 同じように物価高騰に直面する諸外国の公的扶助基準(直近2年間)は、ドイツは12%(2023年)、韓国は7%(2023年)、14%(2024年)、スウェーデンは8.7%(2023年)、8.9%(2024年)と大幅に引上げている。

2025年4月の生活扶助基準額の引上げは世帯人員1人当たり月500円と少額で、物価高騰が続く中、生活保護者の生活水準は低下せざるを得ない状況と言えるでしょう。

3. まとめにかえて

2025年4月の生活扶助基準額は、世帯人員1人当たり月500円引上げられる予定です。

具体的には、2023年10月から支給されている月額1000円の特例加算が1500円にアップします。

ただし、引上げ幅は少額で物価の上昇で生活保護者の生活は更に厳しくなることが予想されます。

国の財政状況が厳しい中で保護費の増額を模索するとともに、生活保護者が自立するための効果的な支援策が必要となるでしょう。

参考資料

西岡 秀泰