2024年12月25日の厚生労働大臣の会見で、生活保護の「生活扶助」に対する特例加算を増額する方向性が示されました。
生活保護受給者にとっては、受給額の増額につながる見直しです。
本記事では、生活保護の「生活扶助」の引上げについて解説します。
生活保護制度の概要や引き上げによる影響などについても紹介しますので、新年度に向けて確認しておきましょう。
1. 生活保護制度と生活扶助、特例加算
最初に、生活保護制度と生活扶助、特例加算の概要について解説します。
1.1 生活保護制度とは
生活保護制度は、生活困窮者に対し必要な保護を行い、日本国憲法第25条で定められた「健康で文化的な最低限度の生活」を保障するものです。
申請によって、世帯単位で最低限度の生活維持のための給付金(以下「保護費」)を国が支給します。
保護費の金額は次の通り計算します。
- 保護費=世帯単位の最低生活費-世帯収入
最低生活費は、居住地や世帯人員の人数・年齢などにより、厚生労働大臣が定める基準で計算します。
具体的には、次の8つの扶助額を計算し、その合計金額から収入を差し引いた額が世帯の保護費として支給されます。
- 生活扶助:日常生活費
- 住宅扶助:家賃
- 医療扶助:医療費
- 介護扶助:介護サービス費
- 出産扶助:出産費用
- 教育扶助:義務教育費
- 生業扶助:就労支援費
- 葬祭扶助:葬祭費用
また、世帯収入は年金や各種手当(児童手当など)、親戚からの援助などを含めて計算します。