3. 申請をすれば受け取れるお金:「雇用」に関する制度
最後に、シニア世代が知っておきたい「申請が必要な給付金」として、雇用に関する支援制度についても確認しておきましょう。
3.1 高年齢雇用継続基本給付
高年齢雇用継続給付は、60歳以降に定年退職後の再雇用などで給与が大幅に減少した際に支給される制度です。
この給付金の受給期間は60歳から65歳までとなっており、以下の条件をすべて満たす方が対象となります。
- 雇用保険の被保険者期間が5年以上ある
- 60歳以上65歳未満の雇用保険一般被保険者である
- 60歳時の賃金に比べ、60歳以後の賃金が75%未満に低下している
支給額は最大で賃金の15%相当ですが、2025年4月からは10%に引き下げられる予定です。
ただし、この「給付率の変更」の対象となるのは、2025年度以降に「60歳に達した日(または、その時点で被保険者期間が5年未満の場合は、5年を満たした日)」を迎えた方に限られます。
そのため、現在すでに要件を満たしている方は、制度変更前に早めに申請することをおすすめします。
4. 高年齢求職者給付金
高年齢求職者給付金は、65歳以上の方が離職後に再就職を希望する場合に支給される給付金です。
高年齢求職者給付金はシニア世代向けの失業手当のようなものであり、年金を受け取りながらこの給付金を受け取ることができるため、新たな仕事を探す際に余裕を持つことができます。
また、高年齢求職者給付金の強みは、要件を満たしていれば「何度でも受給可能」という点です。
給付額は、雇用保険に加入していた期間に応じて、以下の表に示される日数分の「基本手当日額」に相当する額が支給されます。
- 被保険者期間1年未満:基本手当日額の「30日分」が支給
- 被保険者期間1年以上:基本手当日額の「50日分」が支給
たとえば、1年以上雇用保険に加入していた場合、50日分の基本手当を受け取ることができます。
基本手当日額は、離職前の6か月間に支払われた賃金を基に計算され、その1日当たりの賃金額の45%〜80%が支給されます。
しかし、すべてのシニアが自動的に高年齢求職者給付金を受け取れるわけではなく、支給を受けるためには特定の条件を満たす必要があります。
詳しい要件を知りたい場合は、ハローワークに問い合わせて確認すると良いでしょう。
5. 要件に該当する場合は必ず申請を行おう
本記事では、シニア世代を対象とした「申請が必要な支援金」について紹介していきました。
政府の支援制度の多くは申請が必要で、申請しなければ給付を受けることができないため、要件を満たしている場合は、申請方法をしっかり確認することが大切です。
なお、本記事では、国から提供される支援の一部を紹介しましたが、実際には他にも多くの給付制度が存在します。
また、自治体が実施している支援もあり、それらを含めるとかなりの数になるでしょう。
上記をふまえ、ご自身の世帯状況に合った支援がないか、今一度確認してみることをおすすめします。
参考資料
- 厚生労働省「「年金生活者支援給付金制度」について」
- 厚生労働省「令和7年度の年金額改定についてお知らせします」
- 日本年金機構「加給年金額と振替加算」
- 日本年金機構「遺族年金」
- 日本年金機構「遺族年金ガイド(令和6年4月分から)」
- 生命保険文化センター「高額療養費制度について知りたい」
- 生命保険文化センター「公的介護保険で自己負担額が高額になった場合の軽減措置とは?」
- 厚生労働省「離職されたみなさまへ <高年齢求職者給付金のご案内>」
- 厚生労働省「Q&A~高年齢雇用継続給付~(Q8)」
- ハローワークインターネットサービス「雇用継続給付」
- 厚生労働省「令和7年4月1日から高年齢雇用継続給付の支給率を変更します」
- 厚生労働省「高額医療・高額介護合算療養費制度について」
- 内閣府「高額介護合算療養費制度 概要」
- 厚生労働省「介護保険における住宅改修」
和田 直子