1.2 在職老齢年金の支給停止調整額の引き上げ

老齢年金の引き上げと同時に、在職老齢年金の支給停止調整額も引き上げられます。在職老齢年金とは、65歳以上で働きながら年金を受け取っている人の毎月の年金と1ヵ月あたりの給与・賞与の合計が支給停止調整額を超えた際に、年金の一部または全部が支給停止となる制度です。

在職老齢年金の支給停止調整額は、2025年度から以下のように変わります。

  • 2024年度:50万円
  • 2025年度:51万円

2025年度の支給停止調整額は、今年度から1万円引き上げられた51万円です。支給停止となる金額が引き上げられるため、今年度は年金が支給停止となった人でも、次年度からは停止の対象とならない可能性があるでしょう。

国は在職老齢年金の支給停止調整額を62万円へ引き上げることも検討しており、次年度以降も引き上げが続くと考えられます。

1.3 育児休業給付金の給付率引き上げ

現在の育児休業給付金で支給される金額は「休業開始時賃金日額×支給日数×67%(育児休業開始から181日目以降は50%)」です。2025年4月からは、新たな給付金との併用により、最大80%まで引き上げられます。

2025年4月からは、育児休業給付金に加えて「出生後休業支援給付金」が設立されます。支給要件は、以下のとおりです。

賃金日額の13%が支払われるため、育児休業給付金とあわせて賃金の80%が支給されることとなります。

国では給付率の引き上げを想定していたようですが、結果的には新たな給付金を創設する形で引き上げに対応しました。新制度を活用する際は、あらためて支給要件や支給の流れを確かめておきましょう。

次章では、私たちにとってマイナスな引き上げや増額を解説します。