2. 「おふたりさま」の相続は何が問題?
子どものいない夫婦のどちらかが先に亡くなって相続が発生した場合、その配偶者が全財産を相続できると思われがちですが、そうならないケースがあるのです。
これは相続の基本ルールを理解するとわかります。
民法では、相続の際に遺産を受け取る権利がある人を「法定相続人」といい、また、受け取れる財産の原則的な割合を「法定相続分」として定めています。
故人の配偶者は必ず相続人となりますが、故人と血縁関係にある人がいる場合は、その関係によって、優先順位と割合が決められています。
2.1 <配偶者がいる場合の相続>
- 配偶者のみ(故人と血縁関係にある人がいない)・・・全財産配偶者が受け取る
- 第1順位:配偶者と子どもがいる場合・・・配偶者1/2、子ども1/2
- 第2順位:子どもがいない場合で故人の親が存命の場合・・・配偶者2/3、故人の親1/3
- 第3順位:子どもも親もいない場合で兄弟姉妹がいる場合・・・配偶者3/4、兄弟姉妹1/4
※子どもや兄弟姉妹が複数人いる場合は頭数で割る
子どもがいる夫婦であれば、長年一緒に暮らしている配偶者と子どもで半分半分にすればいいので、それほど揉めることはないと思います。しかし、子どもがいない夫婦の場合で、故人の親が存命の場合は、配偶者からすると義理の父母にあたる人と遺産分割をする必要があります。ただ、故人の親なので、一般的な寿命を考えるとこのパターンの可能性はそれほど高くはありません。問題は子どもも親もいないけれど、故人に兄弟姉妹がいるケースです。こちらは親と違って、存命している可能性は高いので、あてはまるケースは多くなります。
故人が兄弟姉妹と仲良くしていた場合はそれほど問題になることはないと思いますが、中には兄弟姉妹と疎遠になっているケースもあります。そうした場合に、遺産分割協議が難航する可能性が考えられます。