老後生活を支える大切な収入源である、公的年金。
実は、そんな年金からも天引きされるお金があるのをご存知でしょうか。
年金所得によって天引きされるお金の種類や金額は異なりますが、税金や社会保険料が天引きされることが一般的です。
老後生活の準備として「ねんきん定期便」などで金額をチェックしたことがある人も多いと思いますが、実際の手取りに驚くことがないよう、年金から天引きされるお金について予習しておきましょう。
実際に天引きされるお金を知ることのできる、「年金振込通知書」を使って解説していきます。
1. 「年金振込通知書」とは?年金の何がわかるのか
給与からさまざまなお金が天引きされるように、老後に受け取る公的年金からも、各種税や社会保険料が天引きれます。源泉徴収、特別徴収という表現を用いることもあります。
「翌年4月までに毎回支払われる年金額および天引きされる項目と金額」については、毎年6月頃に送付される「年金振込通知書」で確認できます。
原則として年に1回の送付ですが、振込額や振込先口座に変更があった場合には、新しいものが都度発行されます。
年金振込通知書が届いたら、「6つの項目」を確認するようにしましょう。
2. 年金振込通知書で確認したい「6つの項目」
「年金振込通知書」が届いたら、下記6つの項目を必ず確認しましょう。
- 年金支払額
- 介護保険料額
- 後期高齢者医療保険料・国民健康保険料
- 所得税額および復興特別所得税額
- 個人住民税額および森林環境税額
- 控除後振込額
2.1 項目(1)年金支払額
年金支払額とは、年6回(偶数月)の支給時に支払われる、1回分の総支給額です。各種税や社会保険料が天引きされる前の「総支給額」2カ月分となります。
実際に振り込まれるのは、ここから税や社会保険料が差し引かれた金額です。
2.2 項目(2)介護保険料額
年金が年額18万円以上(年額)の場合、「介護保険料」は、年金からの天引きとなります。
なお、要支援・要介護認定を受けて、公的介護サービスの利用を開始した後も、介護保険料の支払いは生涯続く点には留意が必要です。
2.3 項目(3)後期高齢者医療制度保険料・国民健康保険料(税)
後期高齢者医療制度保険料や国民健康保険料(税)といった保険料も、年金から天引きされます。
※年金振込通知書の見本には、「後期高齢者医療保険料・国民健康保険料」の記載はありませんが、実際の年金振込通知書には介護保険料額の下に記載されます。
2.4 項目(4)所得税額および復興特別所得税額
所得税額および復興特別所得税額も、年金から天引きされます。
年金支払額から各種控除額を差し引いた後に5.105%の税率を掛けた額が記載されています。なお公的年金のうち「障害年金」と「遺族年金」は非課税です。
2.5 項目(5)個人住民税額および森林環境税額
個人住民税額および森林環境税(※)も、年金から天引きされます。所得税額および復興特別所得税額同様、障害年金と遺族年金は非課税です。
※森林環境税:2024年度から個人住民税の均等割とあわせて1人1000円(年額)徴収される国税。公的年金からの天引きは10月から始まっています。
2.6 項目(6)控除後振込額
控除後振込額は、年金支払額から、上記の税金や社会保険料などが天引きされた後の金額です。こちらがいわゆる「手取り額」となります。
3. 老後の収支をシミュレーションしておこう
年金から天引きされるお金について解説しました。
老後に年金だけで過ごせるかどうかは、事前のシミュレーションが非常に重要になります。
特に収入においては、年金の額面だけでなく手取りも意識しておきたいものです。とはいえ税金や社会保険料を計算するのは複雑であるため、ざっくり7~8割程度で見込んでみるのもひとつです。
60歳以降の働き方も含め、理想の老後について考えてみましょう。
4. 【ご参考】年金に関する疑問や不安を解消!よくある質問を解説
「年金って難しそう…」と感じている人は、多いのではないでしょうか。でも、基本のポイントを押さえると、意外とシンプルなのです。ここでは、年金についてよくある疑問について、わかりやすくお答えしていきます。
4.1 年金の仕組みってどうなってるの?
まず、日本の公的年金は「2階建て」構造です。下の階が「国民年金」、その上に「厚生年金」があるイメージです。
国民年金
国民年金は、20歳から60歳未満の全員が加入対象。特に自営業やフリーランスの方がメインです。
毎月決まった金額を支払います。いわば、年金の基礎部分です。
厚生年金
厚生年金は、会社員や公務員の方が加入対象です。こちらは収入に応じて保険料が変わるので、もらえる年金額も収入の影響が大きくなってきます。
そのため、個人差が出やすくなっています。
4.2 「繰下げ受給」って実際どうなの?
通常、年金は65歳からもらうものですが、「まだ働けるし、今すぐ必要じゃない」という方には「繰下げ受給」という選択肢があります。簡単に言うと、年金の受け取りを後回しにして、もらう額を増やす方法です。
たとえば、65歳で受け取る予定を75歳まで繰り下げると、年金額が84%も増えるんです。
もし健康で他にも収入源があるなら、繰下げ受給を検討してみる価値は十分にあるでしょう。
4.3 年金や老後資金をもっと増やすには?
繰下げ受給以外にも、年金や老後資金を増やす手段はいくつかあります。
国民年金の付加保険料を払う
自営業やフリーランスの方は、少し追加で保険料を払うことで、将来もらえる年金額をアップできます。
厚生年金に加入する
もし可能なら、厚生年金に加入するのも手です。もし国民年金だけに加入していた場合、会社員になったり、厚生年金が適用されるような働き方を選ぶと、年金額が増えます。
資産運用に挑戦
iDeCo(個人型確定拠出年金)や投資信託での資産運用も有効です。
ただし、これは場合によっては元本割れのリスクもあるので、まずはしっかり調べてからスタートするのが大事。お金の増やし方も「焦らずじっくり」がポイントです。
これで、年金の仕組みが少しクリアになったでしょうか?
ちょっとずつでも理解を深めていくと、老後への不安が少しずつ減っていきますよ。将来に向けて、一緒に準備を始めていきましょう。
参考資料
- 日本年金機構「年金振込通知書」
- 日本年金機構「年金振込通知書は、年金の振込の際に必ず送付されますか。」
- 国税庁「No.1600 公的年金等の課税関係」
- 国税庁「復興特別所得税(源泉徴収関係)Q&A」
- 総務省「公的年金からの特別徴収」
- いわき市「年金を受給されている65歳以上の方の個人住民税(市民税・県民税)の年金特別徴収について」
- 日本年金機構「年金Q&A(年金からの介護保険料などの徴収)」
太田 彩子