3. 夫婦で合算なら「年間240万円(月額20万円)」以上も夢ではない

前章では、国民年金および厚生年金の平均受給額について紹介しましたが、「年間240万円(月額20万円)」以上の年金を受け取っている人は少数派であることが明らかです。

個人では年間240万円(月額20万円)を受給するのは難しい場合がありますが、夫婦で年金を合算すれば、この金額に達するハードルは大幅に下がります。

厚生労働省が2025年1月24日に公表した「令和7年度の年金額改定についてお知らせします」によると、2025年度の年金額例は以下のとおりです。

  • 国民年金(老齢基礎年金(満額)):6万9308円(1人分)
  • 厚生年金:23万2784円(夫婦2人分)

ここで示されている厚生年金は、以下のような「標準的なモデル夫婦2人分」の金額が提示されています(国民年金額も含む)。

  • 夫(または妻)が厚生年金に加入:平均的な収入(平均標準報酬(賞与含む月額換算)45万5000円)で会社員として40年間就業
  • 妻(または夫)が国民年金に加入:40年間専業主婦もしくは自営業

このようなモデル夫婦の場合、月額で約23万円の年金を受け取れる計算になります。

なお、このモデルは「一方が厚生年金に加入し、もう一方が国民年金のみ加入しているケース」を想定しており、夫婦ともに厚生年金に加入している場合は、さらに受給額が高くなる可能性があります。

次章では、夫婦の年金加入パターンごとに年金額がどのように変わるのか、具体的なシミュレーションを見ていきましょう。

3.1 夫婦の年金加入パターンごとに年金額をシミュレーション

では最後に、厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」を参考に、夫婦の年金加入パターンごとに年金額シミュレーションをしていきましょう。

  • 夫(厚生年金)+妻(厚生年金)の場合:月額27万3806円
  • 夫(厚生年金)+妻(国民年金)の場合:月額22万2383円
  • 夫(国民年金)+妻(厚生年金)の場合:月額16万7165円
  • 夫(国民年金)+妻(国民年金)の場合:月額11万5742円

夫婦ともに厚生年金に加入していた場合、平均で約27万円の年金を受け取れる可能性があります。

一方、夫婦ともに国民年金のみの場合は月額で約10万円程度にとどまることが多いため、現役時代から自身の年金額を確認し、収支のシミュレーションを行うことが重要です。

年金見込額を詳しく知りたい場合は、「ねんきんネット」や「ねんきん定期便」の活用をおすすめします。

4. 現役時に「年金を増やすための対策」を考えておこう

本記事では、公的年金(国民年金・厚生年金)の平均支給額や、受給額ごとの人数について紹介していきました。

国民年金と厚生年金で「月20万円以上」を受け取っている人は全体の1割程度に過ぎず、国民年金のみ受給している人も含めると、その割合はさらに低くなると考えられます。

「将来の年金が不安だ」と感じる方は、年金を少しでも増やすための対策を考えておくことが重要です。

たとえば、「国民年金」は未納期間があると受給額が減少するため、未納分があれば早めに追納することが大切です。

また、「厚生年金」に加入している方は、現役時代に年収を上げることで将来の年金額を増やすことができます。

その他にも、国民年金や厚生年金それぞれで年金額を増やす方法があるため、老後の生活に備えて早期に情報収集を行い、準備を進めることをおすすめします。

参考資料

中本 智恵