3.2 中途退職した場合は受給見込額が変わる
50歳代のねんきん定期便には、60歳まで加入した場合の老齢年金の受給見込額が記載されています。そのため、もし50歳代で早期退職し、その後厚生年金に加入しなかった場合は、実際に受け取る金額が変わります。
たとえば、55歳で早期退職したとしましょう。この場合、55〜59歳の5年間厚生年金に未加入となるため、受け取れる厚生年金は減ります。
また、ねんきん定期便でより詳細な受給見込額を把握できる59歳時点でも、60歳になるまでの1年間で退職した場合には、厚生年金が見込額から減額されます。
ねんきん定期便の受給見込額は、データ作成時の前々月時点の内容を反映したものです。よって、退職のタイミングによっては、ねんきん定期便に記載されている金額を受け取れない場合があります。
ねんきんネットで最新の情報を把握するなどして、常に現状の受給見込額がいくらなのかをおさえておくとよいでしょう。
3.3 厚生年金保険料の事業主負担分は記載されない
ねんきん定期便には、厚生年金保険料の事業主負担分が記載されません。「これまでの保険料納付額」の欄には、あくまで自分が支払っている保険料のみが記載されます。
実際に納めている保険料を知るには、自分が負担している保険料を2倍にしましょう。年金の元を取る計算に挑戦する際をはじめ「実際には負担額の2倍の保険料が納められている」ことを常に頭に入れておくとよいでしょう。
4. まとめ
ねんきん定期便は、将来私たちが受給する年金についての情報が記載された重要な書類です。ざっと確認するだけでなく、細かなポイントをおさえながら見ていくと、老後のライフプランニングにも役立てられるでしょう。
一方、ねんきん定期便には厚生年金保険料の事業主負担分や私的な年金の金額は記載されていません。
厚生年金保険料については記載されている金額を2倍にする、私的年金は自分で受給金額を把握するといったように、記載のない内容についても知っておくと、老後に向けてより充実した備えができるでしょう。
参考資料
- 日本年金機構「大切なお知らせ、「ねんきん定期便」をお届けしています」
- 日本年金機構「令和6年度「ねんきん定期便」(ハガキ)の見方(50歳以上の方)」
- 日本年金機構「令和6年度「ねんきん定期便」(59歳の方)令和6年10月~」
- 日本年金機構「国民年金保険料」
- 日本年金機構「令和6年4月分からの年金額等について」
- 全国健康保険協会「令和6年3月(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表」
- 日本年金機構「は行 報酬比例部分」
- 日本年金機構「任意加入制度」
- 日本年金機構「4.ホームページ、ねんきんネットに関する取り組み」
- 日本年金機構「「ねんきんネット」の登録方法」
- 国税庁「高齢者と税(年金と税)」
- 日本年金機構「年金から介護保険料・国民健康保険料(税)・後期高齢者医療保険料・住民税を特別徴収されるのはどのような人ですか。」
石上 ユウキ