2.3 これまで支払った保険料
これまで支払った保険料納付額(図:h欄)には、国民年金・厚生年金それぞれいくら保険料を納めたかが記載されています。
納めた保険料と受給見込額を照らし合わせて「何年受給すれば元が取れそうか」を計算できれば、保険料が払い損でないかをチェックできます。
2024年度の国民年金保険料は1万6980円、国民年金の満額受給額は81万6000円です。そのため、国民年金のみの受給者はおよそ10年で元が取れます。
一方、厚生年金も含めた場合、厚生年金の受給額が現役時代の年収や納める保険料によって変わるため、元が取れる期間は変わります。
たとえば、生涯平均年収が600万円だった場合、厚生年金の算定根拠となる平均標準報酬月額は50万円です。厚生年金保険料は標準報酬月額の18.3%ですから、毎月9万1500円を事業主と折半して納めます。
平均標準報酬月額が50万円で、40年間厚生年金保険に加入した場合の年金受給額は「50万円×0.005481×480月」で131万5440円です。基礎年金(2024年度)と合わせて213万1440円となります。
よって、厚生年金のみでも元を取るまで14年以上、基礎年金と合わせると23年以上かかります。
2.4 受給資格期間
65歳から受け取れる老齢年金を受給するには、最低でも120月(10年間)保険料を納める必要があります。
ねんきん定期便の「これまでの年金加入期間」の太枠の欄(図:i欄)を確認して、数字が120以上となっているか確かめましょう。
国民年金・厚生年金のほか、受給資格に合算される期間を合わせた数字が120以上であれば、65歳から年金受給が可能です。
よって、国民年金・厚生年金それぞれの加入月数が120月でなくても構いません。国民年金加入期間が70月、厚生年金加入期間が50月であっても、合計すれば120月となるため、年金の受給資格を得られます。
加入期間が120月に達していない場合は、残りの年数で120月を超えそうかどうか確かめておきましょう。もし60歳までに120月に達しなくても、年金制度を正しく活用すれば問題ありません。
厚生年金は働いていれば70歳まで加入できますし、国民年金は20〜60歳までの納付月数が480月未満であれば、60〜65歳で国民年金へ任意加入できます。
2.5 受け取る年金の種類と見込額
「受給見込額」(図:k、l欄)はねんきん定期便のなかでも最重要情報のため、必ずチェックしておきましょう。基礎年金は前述の受給資格さえ満たせば、誰もが受け取れる年金です。
厚生年金は会社員や公務員の人が受け取れる年金です。それぞれの年金額の合計と、月あたりいくら受け取れるのかを確かめておきましょう。
基礎年金については、加入月数が480月未満の場合、満額で受け取れません。前述の加入月数を見たうえで受給金額を確かめ、場合によっては任意加入制度の利用を検討するとよいでしょう。
2.6 ねんきんネットのアクセスキー
ねんきんネットのアクセスキーを控えておくと、年金情報を知りたいときにWebでいつでも確認できます。ねんきんネットではWeb上でねんきん定期便の内容をチェックできるものです。
ねんきん定期便はハガキや封書で送られてきますが、情報がデータ作成時点の前々月のものとなっており、実際に届くタイミングよりも前のものが掲載されています。
しかし、ねんきんネットは24時間いつでも年金情報をチェックできるうえ、毎日年金記録が更新されているため、常に最新の情報を把握できるのです。
ねんきんネットを使うには、ねんきん定期便に記載されているアクセスキーを用いて、ユーザID登録をする必要があります。
Webでねんきんネットの新規登録ページにアクセスし、アクセスキーや基礎年金番号、メールアドレスなどの情報を入力して、ユーザIDを取得しましょう。
なお、マイナンバーカードがあれば、ユーザIDを登録せずにマイナポータル経由でねんきんネットを利用可能です。
次章ではねんきん定期便を見る際の注意点を解説します。