厚生労働省によれば、2023年度の基礎年金を含む厚生年金の平均受給月額は14万6429円です。月額約15万円であり、年額に換算すると約180万円となります。現役時代の収入と比べると、老後の収入は激減する人が多いでしょう。

しかし「年金月額15万円」の人が実際に受け取る金額は、15万円ではありません。こうした注意点をおさえておかないと「もっと老後に向けて備えておけばよかった」と後悔する可能性があります。

この記事では、年金受給時の注意点について解説します。注意点をおさえて、老後生活に向けて適切に備えましょう。

1. 公的年金の仕組み

日本の公的年金は、以下の3種類に分かれています。

  • 老齢年金:65歳になると受け取れる年金
  • 障害年金:病気やけがなどによって障害の状態になったときに受け取れる年金
  • 遺族年金:生計を維持していた人が亡くなった際に遺族が受け取れる年金

障害年金や遺族年金は、障害状態となったときや生計を維持していた人が亡くなった際に、所定の要件を満たしている場合に受け取れます。

老齢年金は、原則65歳からの受け取りで、最低でも10年間保険料を納めなければ受給できません。

また、日本の公的年金制度は2階建てと呼ばれる仕組みになっています。

1階は20歳になると国民全員が加入する国民年金です。将来的に「基礎年金」として受け取ります。

2階部分は会社員や公務員が加入する厚生年金です。会社員や公務員は、個人事業主や専業主婦に比べて、より多くの年金を受給できます。

なお、iDeCoや国民年金基金、企業年金といった私的年金制度は、3階部分に該当します。そのため、年金制度自体は実質3階建てとなっているのです。

次章では、老齢年金を受け取る際の注意点について解説します。