連休中に久しぶりに会った家族や親戚の様子を見て、ご自身の「健康寿命」や「老後資金」について考えを巡らせる機会になったかもしれません。
最新のデータを見ると、65歳以上の方の4人に1人が認知症またはその一歩手前の状態にあるとされています。
また、厚生年金の受給額に目を向けると、「月10万円未満」の方が約19%を占めるなど、老後への備えの重要性はますます高まっています。
人生100年時代といわれる現代を、安心して過ごすためのお金と健康に関する情報をお届けします。
1. 厚生年金のリアル。受給額「月10万円未満」が約5人に1人という現実
厚生年金(国民年金を含む)の受給額分布を詳細に見ていくと、興味深い実態が明らかになります。
一般的に生活費の一つの目安とされる「月20万円以上」を受け取っている人よりも、「月10万円未満」の人の割合の方が多いという現実があります。
※この記事で取り上げるのは、会社員など民間の事業所で働いていた方が受け取る「厚生年金保険(第1号)」についてで、国民年金の月額分を含んだ金額です。
1.1 厚生年金受給額の分布状況(男女全体)
- 月額10万円未満:19.0%(およそ5.3人に1人)
- 月額20万円以上:18.8%(およそ5.4人に1人)
これはわずかな差に見えますが、「10万円に満たない層」が高額受給者の割合を上回っていることを示しています。
もし国民年金のみを受け取っている方々を含めて全体を見れば、この「10万円未満」の割合はさらに大きくなることが予想されます。
平均受給額が15万円台とされていても、実際には受給者ごとの差は大きく、個人で見ると8割以上の方が「月20万円未満」となっています。
このような状況が、自助努力による備えが重要とされる理由の一つです。
年金生活が始まってから「想定より少ない」と困ることのないよう、現役のうちからご自身の受給見込額を現実的に把握しておくことが大切です。
公的年金だけに依存するのではなく、iDeCoやNISAなどを活用して早めに「自分年金」の準備を始めることが、将来の生活のゆとりにつながるでしょう。
2. 平均寿命は男性81歳・女性87歳。65歳以上の約15%が該当する「軽度認知障害」とは
厚生労働省が公表した「令和6年簡易生命表の概況」によれば、最新の平均寿命は男性で81.09歳、女性で87.13歳です。
前年と比較すると男性は横ばい、女性はわずかに短くなりましたが、長期的な視点では伸長傾向にあります。
長い老後を心豊かに送るためには、資産形成だけでなく、公的年金や医療・介護のリスクについて理解を深めることが欠かせません。
特に、長寿化が進む現代において「認知症」への備えは重要な課題です。
2.1 認知症の現状:シニアの約4人に1人に認知機能のサイン
令和4年度(2022年度)の推計値によると、65歳以上の高齢者3603万人における認知症の状況は以下のようになっています。
- 認知症:約443万人(12.3%)
- 軽度認知障害(MCI):約559万人(15.5%)
認知症の方と、その予備群とされるMCI(軽度認知障害)の方を合わせると、合計で約1002万人になります。
これは、65歳以上の約4人に1人が、認知機能に関して何らかの注意や支援を必要とする状態にあることを意味します。
認知症は誰にとっても身近な問題であり、特にMCIの段階でどのように対応するかが、その後の生活の質に大きく影響します。
このような状況を背景に、「終活」への関心が高まっています。
3. 「終活」の認知度は9割を超えるも、60歳代・70歳代の準備は進んでいるのか
【グラフ】終活に対するイメージ(全体・男女別・年代別)

出所:NPO法人ら・し・さ(終活アドバイザー協会)「第2回終活意識全国調査報告書【確定版】(2025年7月)」
長寿化と認知症への備えという観点から、「終活」が注目されています。
NPO法人ら・し・さ(終活アドバイザー協会)の「第2回終活意識全国調査報告書【確定版】(2025年7月)」によれば、「終活」という言葉を知っている人は96.2%にのぼります。
しかし、「エンディングノート」については、知っていても実際に書いている人は多くないのが現状です。
特に年齢が上がるにつれて、「まだ早い」と感じたり、体力的な問題があったりして、記入が進まない傾向が見られます。
3.1 エンディングノートの認知度と実行率のギャップ
- 認知度:60歳代以上では9割を超えています。
- 所有率:70歳代以上が24.2%で最も高い一方、50歳代以下は1桁台にとどまります。
- 実行率(所有者のうち):20歳代では9割以上が記入しているのに対し、70歳代以上では約5割となっています。
年齢を重ねると、記載すべき内容が多岐にわたることや、「まだ先のこと」という気持ち、あるいは健康上の問題から、なかなか書き進められなくなるのかもしれません。
ご自身の資産や医療・介護に関する希望をきちんと残すためにも、気力や体力が十分なうちから準備を始めることが大切です。
【調査概要】NPO法人ら・し・さ(終活アドバイザー協会)「第2回終活意識全国調査報告書【確定版】(2025年7月)」
- 調査目的 :高齢社会における終活意識の実態を明らかにし、個人が豊かで安心した人生後半期を送るための支援策や啓発活動に役立てる
- 調査対象 :20~89歳の男女
- 調査地域 :全国
- 調査方法 :インターネットリサーチ
- 調査時期 :2024年12月4日(水)~12月6日(金)
- 回答者数 :2052名
- 割付方法 :人口構成比割付(令和2年国勢調査の性年代別人口比率に基づく)
- 調査委託先 :株式会社マクロミル
4. まとめ:人生100年時代を生き抜くために今からできること
ここまで、厚生年金の受給額の実態、長寿化に伴うリスク、そして終活の現状について見てきました。
「月10万円未満」で生活する可能性があるという現実は、誰にとっても無関係な話ではないでしょう。
しかし、今からiDeCoやNISAなどを利用して「自分年金」を準備したり、元気なうちから終活に取り組んだりすることで、将来への不安を和らげることができます。
連休が明けたこの機会に、まずはご自身の年金受給見込額を確認することから始めてみるのはいかがでしょうか。
その小さな一歩が、安心できる老後生活を築くための重要な鍵となります。
※当記事は再編集記事です。
参考資料
- 厚生労働省「令和6年簡易生命表の概況」1 主な年齢の平均余命
- 政府広報オンライン「知っておきたい認知症の基本」
- NPO法人ら・し・さ(終活アドバイザー協会)「第2回終活意識全国調査報告書【確定版】(2025年7月)」
- LIMO「来月、6月支給【厚生年金】およそ5人にひとりが「月10万円未満」65歳以上の約15%「軽度認知障害」とはどういう状態?」
マネー編集部社会保障班