今年最初の年金支給日は2月14日でした。次回の支給日は2カ月後の4月15日です。
年金から天引きされる税金や社会保険料を見て、ため息をつく方も多いのではないでしょうか。
中には、どのようなお金が天引きされているのか詳しく知らない方もいらっしゃるでしょう。
今回は、年金から天引きされる4つのお金について解説するとともに、現代のシニアがどのくらいの年金を受け取っているのかを見ていきます。
また、公的年金制度の仕組みもおさらいし、ご自身の年金や老後の生活について考えるきっかけにしていただければと思います。
1. 【意外と知らない】年金から天引きされる4つのお金
年金から天引きされるのは、以下の4つの税金と社会保険料です。
- 所得税・復興特別所得税
- 住民税・森林環境税
- 介護保険料
- 国民健康保険料・後期高齢者医療保険料
1.1 年金から天引きされる「所得税・復興特別所得税」
所得税および復興所得税は、公的年金等の収入が一定額以上の場合に課税されます。一般的に、年金から所得税が引かれるのは、以下のような方です。
- 65歳未満の方:年間108万円以上
- 65歳以上の方:年間158万円以上
ただし、非課税で受け取れる年金額は、各種控除の適用によって異なります。
1.2 年金から天引きされる「住民税・森林環境税」
住民税は、お住まいの地域の自治体に納める税金です。
住民税は「均等割」と「所得割」の2つに分けられ、それぞれを合計した金額が徴収されます。
具体的には、均等割が一律5000円(道府県民税1000円、市町村民税3000円、森林環境税1000円)、所得割は年収から各種控除を差し引いた「課税所得金額」に対して10%が課されます。
※実際には、これらの基準を踏まえ都道府県や市町村が自らの判断で税率を定め、決定されます。
1.3 年金から天引きされる「介護保険料」
介護保険料は、介護保険制度の運営にかかる費用を賄うために徴収される費用です。
年金受給者の場合は、65歳以上かつ年間の年金受給額が18万円以上の方が徴収の対象となります。
なお、介護保険料の金額は、自治体によって異なります。
1.4 年金から天引きされる「国民健康保険料・後期高齢者医療保険料」
年金から国民健康保険料が差し引かれるのは、以下の要件に該当する方です。
- 65歳以上75歳未満(後期高齢者医療制度の該当者を除く)
- 年間の受給額が18万円以上
- 国民健康保険料と介護保険料の合計額が、各支払期に支払われる特別徴収対象年金額の2分の1以下
なお、国民健康保険料は世帯単位で計算されます。
また、後期高齢者医療保険料を差し引かれるのは、以下の要件に該当する方です。
- 75歳以上の方もしくは65歳以上75歳未満で後期高齢者医療制度に該当する方
- 年間の受給額が18万円以上
- 後期高齢者医療保険料と介護保険料の合計額が、各支払期に支払われる特別徴収対象年金額の2分の1以下
国民健康保険料とは異なり、後期高齢者医療保険料は被保険者ごとに計算されます。
2. 【厚労省最新データ】厚生年金と国民年金の平均月額はいくら?
厚生労働省「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」から、国民年金と厚生年金の平均受給額を見てみましょう。
2.1 【全体・男女別】国民年金の平均月額
- 〈全体〉平均年金月額:5万7584円
- 〈男性〉平均年金月額:5万9965円
- 〈女性〉平均年金月額:5万5777円
2.2 【全体・男女別】厚生年金の平均月額
- 〈全体〉平均年金月額:14万6429円
- 〈男性〉平均年金月額:16万6606円
- 〈女性〉平均年金月額:10万7200円
※基礎年金部分を含む
3. まとめにかえて
今回ご紹介したように、年金から天引きされるお金は4つあります。
天引き額の詳細は「年金振込通知書」に記載されているので、どのくらい引かれているのか知っておきましょう。
また、2024年度から「森林環境税」の徴収が開始されるなど、気付かないうちに天引き額が増えているケースもあります。
税金や社会保険料、公的年金制度の仕組みを少しでも理解を深め、ご自身の年金や老後の生活について考えていきましょう。
4. 【ご参考】年金に関する疑問や不安を解消!よくある質問を解説
年金に関する疑問や不安を解消!よくある質問を解説2/2
出所:厚生労働省、日本年金機構などの各種資料をもとにLIMO編集部作成
4.1 年金の主な種類と仕組みは?
日本の公的年金制度は、20歳以上60歳未満のすべての方が加入する「国民年金」と、会社員や公務員の方が加入する「厚生年金」の2階建て構造になっています。
会社員や公務員は、これら2つの年金制度に加入するため、将来的に国民年金と厚生年金の両方を受け取れます。
なお、これらの公的年金に上乗せする形で任意加入できるのが、企業年金やiDeCo(個人型確定拠出年金)といった私的年金です。
4.2 「繰下げ受給」とは?
「繰下げ受給」とは、公的年金の受給開始を65歳以降に遅らせることで、年金額を増やせる制度です。
受給開始年齢は66歳~75歳まで遅らせることが可能で、1カ月繰り下げるごとに年金額が0.7%増加します。
75歳まで繰り下げれば最大84%増額できるため、長生きリスクに備えたい場合は繰下げ受給を選択するのもひとつの方法です。
4.3 年金を増やす方法はある?
繰下げ受給のほかにも、以下のような方法で年金を増やせます。
- 付加年金に加入する(国民年金)
- 60歳以降も国民年金に任意加入する
- 厚生年金に長く加入する
また、年金に上乗せする形で、企業年金やiDeCoなどの私的年金に加入するのもひとつの方法です。
参考資料
- 国税庁「高齢者と税(年金と税)」
- 東京都主税局「個人住民税」
- 日本年金機構「年金から介護保険料・国民健康保険料(税)・後期高齢者医療保険料・住民税および森林環境税を特別徴収されるのはどのような人ですか。」
- 厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
加藤 聖人