高齢化が進む現代において、老後の生活設計は避けて通れない重要な課題です。

厚生労働省は1月24日に、2025年度の年金受給額例を公表し、年金額が1.9%引き上げられることが決定されています。

年金受給生活者には、年金収入のみで生活を賄っている世帯も多いため、年金額が増えることは、生活の大きな助けになるはずです。

しかし、同様に食糧費や医療費といった生活費も上昇が続いています。そのため、年金の増加と物価の上昇のバランスを考えて生活費をやりくりする必要があります。

今回は、老後の生活費、特に食糧費・医療費・光熱費について、65歳以上の無職夫婦世帯の現状を解説していきます。ぜひ皆様の生活の参考にしてください。

1. 老後生活費の実態

総務省統計局の「家計調査報告」によると、65歳以上の無職夫婦世帯の消費支出の平均額は、月々約25万円です。この平均支出額の中で、食料費は29.1%、光熱費は8.9%、保険医療費は6.7%を占めています。今回は、この3つの費目について考えていきます。

1.1 食料費

家計調査報告によると、食料費は消費支出全体の29.1%を占め、最も大きな割合を占めています。さらに、食糧費は物価上昇の影響を大きく受けている費目であるとも言えます。

卵や牛乳、肉類など、日常的に口にしているものが、最近では以前と比べて大きく値上がりしているのではないでしょうか。

なお、2024年の前年比の食料費の物価上昇率は約4.3%です。

1.2 光熱費

光熱費は、統計結果では全体の8.9%と、そこまでの割合を占めてはいません。しかし、毎月必ず発生する生活に欠かすことのできない費目であり、こちらも値上がりによる圧迫感を感じているのではないでしょうか。

光熱費の前年比物価上昇率は4.0%となっており、今後も上昇することが予測されます。

ライフラインである光熱費は、削ることが難しい費目ではありますが、必要のない電気を消したり、水道の蛇口を勢いよく出しすぎないなど、小さい努力で出費を抑える意識を持つことが大切です。また、電力会社やガス会社の契約プランや契約会社自体を見直し、自身のライフスタイルに合ったものを選ぶことも重要です。

1.3 保険医療費

保険医療費は、他の生活費に比べて物価上昇の影響を受けにくい費目です。

物価上昇率でも、前年比で1.6%と、上昇の割合がかなり緩やかです。高齢になると、保険医療費が多く掛かると考えがちですが、全体の中での割合を見ても、6.7%とそこまでの割合を占めていません。

大きな割合を占めない費目ではありますが、身体の不調がなければ支払う必要がない費用であるため、できる限り健康に留意することで、支出を減らす意識をすることも大切です。

2. 収支のバランス

以上のように、年金額も増加が発表されていますが、物価も同じように上昇していることがわかります。それでは、実際に2025年の収支はどのようになるのでしょうか。

2.1 65歳以上世帯の収支のバランス

2024年における、前年と比較した全体の物価上昇率は2.7%です。上記でご説明した「家計調査報告」の2023年における消費支出の合計額が25万959円であるため、そこから計算をすると2024年の平均額は25万7734円程度になることが考えられます。

2025年になり、さらに物価が上がっていく場合には、恐らくこれよりもさらに支出の平均額は増えていくことになります。

月々の収支にマイナスが出る場合には、貯蓄額を取り崩すか、マイナス部分をなくすために収入を増やす、もしくは支出を減らすことが必要です。あくまでもこれは上昇率から考えた平均値であるため、全ての方の支出や収入がこの通りになるわけではありません。

しかし、自分自身の収支をしっかりと把握して、どのくらい不足しそうなのかを理解することは大切です。65歳以降を十分に過ごすために、そこまでにいくらを貯蓄しなくてはいけないのか、または生活費をどのようにしていかなければいけないのか、といったことをきちんと考えておくことで、充実した老後生活の助けになります。

3. まとめにかえて

65歳以上のシニア夫婦にとって、年金は老後生活の大きな支えです。2025年度の年金額は増額となりましたが、同時に物価上昇も続いているため、収支バランスを改めて考える必要があります。

生活費の中でも大きな割合を占める食糧費や光熱費、日々の生活に不可欠な保険医療費について、現状を把握し、適切な支出になっているかを確認しましょう。

将来に向けて計画的に貯蓄を行うことや、自分のライフスタイルに合った節約法を見つけることが、充実した老後生活を送るための鍵となります。

各家庭ごとの事情により支出は異なりますが、大切なのは「自分にとって何が必要かを見極める」ことです。

必要な費目については無理に抑えすぎず、無駄な支出をできる限り削る意識をすることで、穏やかで安心できる老後を過ごすことができる一歩となるはずです。

参考資料

斎藤 彩菜