2. 収支のバランス
以上のように、年金額も増加が発表されていますが、物価も同じように上昇していることがわかります。それでは、実際に2025年の収支はどのようになるのでしょうか。
2.1 65歳以上世帯の収支のバランス
2024年における、前年と比較した全体の物価上昇率は2.7%です。上記でご説明した「家計調査報告」の2023年における消費支出の合計額が25万959円であるため、そこから計算をすると2024年の平均額は25万7734円程度になることが考えられます。
2025年になり、さらに物価が上がっていく場合には、恐らくこれよりもさらに支出の平均額は増えていくことになります。
月々の収支にマイナスが出る場合には、貯蓄額を取り崩すか、マイナス部分をなくすために収入を増やす、もしくは支出を減らすことが必要です。あくまでもこれは上昇率から考えた平均値であるため、全ての方の支出や収入がこの通りになるわけではありません。
しかし、自分自身の収支をしっかりと把握して、どのくらい不足しそうなのかを理解することは大切です。65歳以降を十分に過ごすために、そこまでにいくらを貯蓄しなくてはいけないのか、または生活費をどのようにしていかなければいけないのか、といったことをきちんと考えておくことで、充実した老後生活の助けになります。
3. まとめにかえて
65歳以上のシニア夫婦にとって、年金は老後生活の大きな支えです。2025年度の年金額は増額となりましたが、同時に物価上昇も続いているため、収支バランスを改めて考える必要があります。
生活費の中でも大きな割合を占める食糧費や光熱費、日々の生活に不可欠な保険医療費について、現状を把握し、適切な支出になっているかを確認しましょう。
将来に向けて計画的に貯蓄を行うことや、自分のライフスタイルに合った節約法を見つけることが、充実した老後生活を送るための鍵となります。
各家庭ごとの事情により支出は異なりますが、大切なのは「自分にとって何が必要かを見極める」ことです。
必要な費目については無理に抑えすぎず、無駄な支出をできる限り削る意識をすることで、穏やかで安心できる老後を過ごすことができる一歩となるはずです。
参考資料
- 厚生労働省「令和5年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 総務省統計局「家計調査報告(家計収支編」2023年(令和5年)平均結果の概要」
- 総務省「2020年基準 消費者物価指数 全国 2024年(令和6年)12月分及び2024年(令和6年)平均」
斎藤 彩菜