3. 覚えておきたい「在職定時改定」

在職老齢年金に関連して、ぜひ覚えておきたいのが「在職定時改定」です。在職定時改定は、厚生年金保険に加入するシニアの年金受給額が都度見直される制度です。

在職定時改定

在職定時改定

出所:日本年金機構「在職老齢年金の計算方法」をもとに筆者作成

【在職定時改定に当てはまる人の条件】

  • 厚生年金保険に加入している65〜70歳未満の人が、基準日である9月1日時点で、厚生年金保険の被保険者である場合
  • 9月1日において厚生年金保険の被保険者資格を喪失したのち、9月1日を跨いで1ヶ月以内に被保険者資格を再取得した場合

65歳〜69歳で厚生年金保険の適用事業所に勤めている人は、在職定時改定が適用されるとおさえておきましょう。もし9月1日以前に厚生年金保険の被保険者でなくなっても、1ヶ月以内に再加入すれば在職定時改定の適用対象となります。

見直されるのは、10月分からの年金です。納めた保険料がすぐに年金額に反映されるため、厚生年金保険に加入するメリットを実感しやすいでしょう。

在職定時改定で受け取れる年金額の計算式は、以下のとおりです。

  • 標準報酬月額×5.481/1000×老齢厚生年金額に反映される厚生年金保険加入期間の月数

たとえば、65歳から1年間、標準報酬月額20万円で厚生年金保険の適用事業所に勤めた場合、増額される年金額は以下のようになります。

  • 20万円×5.481/1000×12ヶ月=1万3154円

よって、66歳になる年の10月から、年金受給額が1万3154円増えます。69歳になるまで働けば、合計で6万5772円を毎年の年金に上乗せできるのです。

在職定時改定については、年金受給者が申請手続きや書類提出などをする必要はありません。ただし、在職老齢年金の対象にならないよう、給与額の調整が必要な場合がある点には注意しましょう。