2025年度の年金額が厚生労働省から発表されました。基礎年金は6万9308円、厚生年金(夫婦2人分の基礎年金額を含む)は23万2784円となり、前年から増額しています。しかし、物価上昇に年金の伸びは追いついておらず、実質的な目減りとなっている状況です。
働くシニア世代が年金トピックでもうひとつ注視しておきたいのが「在職老齢年金」です。在職老齢年金の支給停止調整額も、次年度から引き上げとなりました。在職老齢年金とは、そもそもどのような制度でしょうか。また、次年度からはどのような形で制度運用されるのでしょうか。
この記事では、在職老齢年金の概要と今後の見通しについて解説します。
1. 在職老齢年金とは
在職老齢年金とは、70歳未満で厚生年金保険に加入している人や、70歳以上で厚生年金保険の適用事業所に勤めている人の「給与・賞与額」と「年金受給額」の合計が一定額を超えた際に、年金の一部または全額が支給停止となる措置です。
2024年度は給与・賞与収入と年金の合計額(支給停止調整額)が50万円を超えると、年金の支給がストップします。計算方法は以下のとおりです。
- 調整後の年金支給月額=基本月額-(基本月額+総報酬月額相当額-50万円)÷2
※基本月額:加給年金額を除いた老齢厚生年金の受給額
※総報酬月額相当額:(その月の標準報酬月額)+(その月以前1年間の標準賞与額の合計)÷12
たとえば、月あたりの年金受給額が22万円、月あたりの給与と賞与の合計が34万円だった場合、支給される年金額は以下のようになります。
- 22万円-(22万円+34万円-50万円)÷2=19万円
よって、本来受け取れるはずの年金が年間3万円減額されてしまうのです。
次章では、2025年度の支給停止調整額について解説します。