2. 50歳代の実際の平均貯蓄額
50歳代の現在の平均貯蓄額について、前章と同様にJ-FREC 金融経済教育推進機構が公表している「家計の金融行動に関する世論調査(2024年)」をもとに解説していきます。
なお、データには「平均値」と「中央値」の2つの数値が出てくるため、それぞれの定義を押さえておきましょう。
平均値とはデータの値の合計をデータの個数で割った値で、中央値とはデータの値を小さい順に並べたときに、ちょうど真ん中になる値のことをいいます。
平均値はデータの中に極端に大きなまたは小さな値があると、その影響を受けやすく実際の平均とはかけ離れることがあります。しかし、中央値は影響を受けにくいため、実際の平均に近い数値となります。
そのため、実際の平均を知るには中央値の方が適しているとされています。
2.1 二人以上世帯の貯蓄額の平均値は1168万円
50歳代の二人以上世帯の貯蓄額の平均値は1168万円で、中央値は250万円です。平均値と中央値に大きな開きがありますが、平均値は貯蓄額の高い世帯が値を引き上げていると考えられ、実際には中央値の250万円が平均的な貯蓄額といえます。
前章より、目標金額は2891万円なので、平均値では1723万円、中央値では2600万円以上も足りない計算になります。
では、貯蓄額ごとの世帯割合を確認していきましょう。
最も大きい割合を占めているのは「金融資産なし」で29.2%となっており、およそ3〜4世帯に1世帯は貯蓄がないことになります。
しかし、2番目に多いのが「3000万円以上」で10.7%となっており、貯蓄なしの世帯と高額な貯蓄を有する世帯が極端に分かれていることがわかります。