1.1 社会保険の要件をチェック

特定適用事業所に勤務しており、以下の要件に該当する短時間労働者は新たに社会保険に加入します。

  • 週の勤務時間が20時間以上
  • 給与が月額8万8000円以上
  • 2ヶ月を超えて働く予定がある
  • 学生ではない

社会保険の「106万円の壁」とは、8万8000円を年収に換算すると約106万円になることから、名付けられた壁です。

特定適用事業所に勤務している短時間労働者が106万円の壁を超えると、自ら勤務先の社会保険に加入しなければなりません。

これまで配偶者の扶養に加入していた場合、自分で健康保険料や年金保険料を納める必要はありませんでした。

しかし、社会保険に加入することで、健康保険料と厚生年金保険料を納付しなければなりません。

例えば、年収110万円で働いていた人の場合、新たに社会保険へ加入すると社会保険料(健康保険料・介護保険料・厚生年金保険料)が年間で約15万6000円ほど増えます。

負担が増えて手取り収入が減ってしまうため、あえて年収を106万円未満に抑えて、社会保険への加入を防ぐ調整を行う人もいるでしょう。

目先の損得を考えたら、年収の壁を超えないように就業調整をするのは合理的です。しかし、社会保険は長生きリスク・障害リスクなどさまざまなリスクに備えられる保険であることを考えると、社会保険に加入するのはデメリットばかりではありません。