2. 高等教育の修学支援新制度が利用できる条件

高等教育の修学支援新制度を利用できるのは、子どもの条件や世帯収入など一定要件を満たした世帯です。

2.1 対象となる学生

高等教育の修学支援新制度の対象になるのは、以下の2つの要件をいずれも満たす学生です。

  • 進学先で学ぶ意欲がある
  • 世帯収入や資産要件を満たしている

学ぶ意欲があるかどうかは、学校の成績だけで判断されず、レポートなどでも確認します。

また、大学や短大などごとに定員が決められているわけではなく、要件に該当する方全員が支援を受けられます。ただし、進学後に十分な勉強をしなかった場合、支援が打ち切られることがある点に注意しましょう。

2.2 対象となる学校

支援の対象になるのは、国などが確認した大学・短大・高等専門学校(4年・5年)・専門学校です。進学を希望する学校が該当するかどうかは、文部科学省「支援の対象となる大学・短大・高専・専門学校一覧」で確認可能です。

2.3 世帯収入により支援額が異なる

高等教育の修学支援新制度《世帯収入ごとの支援額》

高等教育の修学支援新制度《世帯収入ごとの支援額》

出所:文部科学省「高等教育の修学支援新制度」

支援を受けられる金額は、住民税非課税世帯<第Ⅰ区分・第Ⅱ区分・第Ⅲ区分>と、令和6年度から拡充された「多子(子ども3人以上)世帯や私立学校理工農系に進学する場合」の4つの区分により異なります。

該当する年収の目安は、4人家族(父:会社員、母:専業主婦、本人:18歳、弟:中学生)世帯の場合、以下の通りです。

  • 住民税非課税世帯<第Ⅰ区分>:約270万円
  • 住民税非課税世帯<第Ⅱ区分>:約300万円
  • 住民税非課税世帯<第Ⅲ区分>:約380万円
  • 多子世帯・私立理工農系:約600万円

ただし、これらの年収はあくまでも目安であり、実際には子どもの人数や年齢などにより異なります。

支援額は、住民税非課税世帯<第Ⅱ区分>は<第Ⅰ区分>の3分の2、<第Ⅲ区分>は3分の1、多子世帯・私立理工農系は4分の1の金額です。

なお、令和7年度からは「こども未来戦略」に基づき、多子世帯の学生の授業料・入学金は、所得制限なしで無償となることが決定されています。

3. まとめにかえて

子どもの大学や短大などへの進学費用に困った場合は、「高等教育の修学支援新制度」を利用する方法があります。支援を受けるには、子どもや世帯収入の要件を満たす必要がありますが、入学金や授業料の減免、返済不要の給付型奨学金の支援を受けられます。

子どもの学ぶ意欲を叶えるために、制度の内容を理解したうえで、要件を満たす場合は申請しましょう。

参考資料

木内 菜穂子